損害賠償等消費者団体訴訟制度(特定共通請求原因確認等訴訟型)要綱案

2010年11月17日
日本弁護士連合会


本要綱案について

日弁連は、2010年11月17日付けで、「損害賠償等消費者団体訴訟制度(特定共通請求原因確認等訴訟型)要綱案」をとりまとめ、同年12月2日に、内閣府の消費者委員会の下に設置された集団的消費者被害救済制度専門調査会において報告しました。


日弁連では、既に2009年10月20日に「損害賠償等消費者団体訴訟制度」要綱案を公表しています。同制度は、消費者被害において、被害を受けた消費者が多数存在するにもかかわらず、その損害を回復するための法的な権利行使をすることに対して、法律上又は事実上の様々な障壁が存在し被害回復が妨げられている現状を克服するために、適格消費者団体を訴訟追行主体として、被害消費者の権利をオプト・アウト方式によって集合させて、集団的救済を図ることを目的とした制度です。


しかし、現実の消費者被害事例は、事業者の責任原因(因果関係を含む。)は同一であっても、個々の消費者が被っている被害には個別性が存在する事案も多くあります。


消費者被害に対してあまねく消費者の被害回復を図り、また、それによって違法な事業者に不当な利益を残さないことによって消費者被害の根絶を図るためには、このような消費者被害に個別性のある場合も集団的救済の対象に含める制度を検討すべきであると考えます。


このような観点から、日弁連は従前のオプト・アウト方式による「損害賠償等消費者団体訴訟制度」と併せて、さらに個別性の強い消費者被害事案を含めて救済をはかる集団的訴訟制度として、本要綱案を提言するものです。両制度は相補うものであり、いずれもが導入されることにより消費者被害の集団的救済制度の実効性が担保されるものと考えます。


本要綱案の趣旨

  1. 集団的消費者被害を救済するための新たな損害賠償訴訟制度。
  2. 多数の消費者被害があることを前提とし、訴訟追行者が集団的訴訟として訴訟を提起し、第一段階で共通争点(違法・責任論など)を審理、判決する。
    ※訴訟追行者としては、適格消費者団体を考える(被害者団体等に広げる考え方もある。)
    ※訴訟追行許可を裁判所が行う。複数訴訟はこの段階で調整する。
  3. 第一段階の判決に対しては、当事者は独立の不服申立てができる。確定後、第二段階に進む。
    ※第一段階の判決が棄却であった場合、個別の消費者には効力が及ばない。
    ※第一段階の判決が認容判決であった場合、個別消費者は第二段階の手続に参加することにより、共通争点の確認判決の効果を有利に援用できる。
    ※被告に対する弁護士費用賠償命令。
  4. 第二段階(第一段階と同一の裁判所が審理)において、通知・公告により被害消費者の手続参加の機会を与える。
  5. 第二段階では、個別争点(因果関係、損害論、過失相殺等)を審理し、判決する。
    ※第二段階の審理の進め方:審判類似の調停手続で、異議がある場合は、判決手続による。

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