消費者の救済のための発信者情報開示制度に関する意見書

2010年11月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

当連合会は、この度、「消費者の救済のための発信者情報開示制度に関する意見書」をとりまとめ、2010年12月3日に消費者庁長官宛てに提出いたしました。


本意見書の趣旨

  1. 現在の「特定商取引法」について、消費者の被害救済の観点から、消費者からの、事業者及び当該情報の保有者に対する、権利救済に必要な情報の開示請求権を設けられたい。その際には、以下の点を満たすことが必要である。
    (1) 消費者に対して電気通信を用いて違法に権利侵害した場合について、広く発信者情報開示請求の対象とするべきである。
    (2) 消費者に対して電気通信を用いて違法な行為を行った場合、違法なメールの送信等を含め発信者情報開示請求の対象とするべきである。
    (3) 消費者から開示請求可能な情報の内容は、発信者の特定及び権利救済に必要な情報かつ保存している情報について認められるべきである。
    (4) 消費者から、プロバイダ等に対して、当該情報にかかる発信者情報の保存を求める民事上の請求権を創設するべきである。
    (5) 消費者が、裁判によって、発信者情報の開示を求める場合については、消費者に対して不当な立証責任を負わせないようにするべきである。
    (6) 発信者への事前通知については、原則として必要であるが、消費者からの発信者情報開示請求について、特段の事情が存する場合は事前通知を不要とするべきである。
    (7) 発信者情報開示の裁判上の請求については、請求者の住所地を管轄する裁判所を管轄裁判所とするべきである。



  2. ADRを用いた紛争解決
    迅速な発信者情報開示のために、発信者情報開示請求の適法性を判断するADRを創設し、これらの機関の判断に従って発信者情報を開示した場合は、事後的に発信者情報開示が否定された場合であっても、免責される制度が必要である。


  3. 開示の不当拒否に対する措置命令
    開示を不当に拒否する事業者等に対しては、監督省庁に適切な措置を求める命令を発する権限を与え、事業者等がこれに従わない場合は刑事処罰が認められることが必要である。

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