有期労働契約研究会中間取りまとめに対する意見書

2010年7月15日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連では、2010年7月15日付けで、「有期労働契約研究会中間取りまとめに対する意見書」をとりまとめ、同月20日付けで、有期労働契約研究会座長に対して提出しました。


意見書の概要は以下のとおりです。


  1. 有期労働契約法制の検討に当たっては、有期労働契約の問題が日本の深刻な貧困問題に直結していることを認識し、貧困対策の一環であるとの観点を基本に据えるべきである。
  2. 有期労働契約は、労働者の権利の行使を事実上抑制する効果を有し、また、解雇規制の潜脱に利用され、不安定雇用の温床となっていることから、期間の定めのない雇用が原則であること(無期原則)を明確にするとともに、その例外となる有期労働契約の締結事由は合理的理由がある場合に制限すべきである(入口規制)との観点から検討されるべきである。
  3. 有期労働契約の入口規制をするとともに、更新回数、利用可能期間の上限規制をあわせて行い、有期労働契約利用制限をより一層強化すべきである。
  4. 2項の有期労働契約の締結事由を制限する有期労働契約法制の抜本的改正がなされるまでの措置として、有期労働契約者を保護するために、判例法理である雇止め制限法理(解雇権濫用法理の類推適用)の立法化、権利性・実効性のある正社員転換制度を早期に実現すべきである。
  5. 就労形態の違いによる賃金格差解消のための同一労働同一賃金原則につき、民事効の導入を含めて実効ある制度を設けるべきである。
  6. 有期労働契約法制の検討にあたっては、女性労働者の多くが有期契約労働者であるという実態を踏まえ、男女賃金格差の解消及び男女共同参画社会の理念を実現する視点に立った検討がなされるべきである。

(※本文はPDFファイルをご覧下さい)