未公開株の被害の防止及び救済に関する意見書

2010年6月17日
日本弁護士連合会


本意見書について

ここ2~3年の間で、高齢者等に対する未公開株等の販売による被害が拡大し、深刻化していますが、このような金融被害・投資被害事件が放置されることは、高齢者等の生活を破壊するものであるとともに、健全な金融市場・金融取引の基盤を掘り崩すものとなります。


日弁連は、被害の防止及び救済の観点から、抜本的な制度改革と体制の整備を求める意見書を取りまとめ、2010年6月25日に金融庁、消費者庁、内閣府消費者委員会など、関係官庁等に提出いたしました。


本要望書の趣旨

  1. 不招請勧誘の禁止規定の整備
    金融商品全般について不招請勧誘を原則として禁止し、これに違反する契約を無効または取り消しうることとすべきである。


  2. 民事法規定の整備
    民事手続による迅速な被害救済を実現するために、次の法整備を早急に行うべきである。
    (1) 金融商品取引法若しくは金融商品販売法に、無登録業者が金融商品を販売する契約を無効とし、または、これを取り消すことができる旨の規定を置くべきである。
    (2) 金融商品を販売する行為(登録業者による場合を除く。)には、自社の株式や社債を販売する場合を含め、特定商取引法が適用されることを、明確にすべきである


  3. 罰則の強化
    (1) 無登録で金融商品取引業を行った者についての罰則を強化すべきである。
    (2) 無登録業者の営業行為に、金融商品取引法の広告規制・書面交付義務・適合性の原則・説明義務の違反に相当する行為がある場合、及び、不招請勧誘に該当する行為がある場合は、刑を加重する定めを置くべきである。


  4. 迅速な行政対応を可能にするための法整備
    (1) 金融庁、証券取引等監視委員会及び消費者庁に、無登録業者に対する報告徴求及び立ち入り検査の権限を認めるべきである。
    また、報告拒否や検査拒否等については、罰則を設けるべきである。
    (2) 金融庁、証券取引等監視委員会及び消費者庁に、無登録業者に対する行政処分(業務停止)の権限を認めるべきである。
    また、裁判所を通じた財産保全命令制度を設けるべきである。
    (3) 金融機関の更生手続の特例等に関する法律を改正し、破産手続開始の原因となる事実がある場合に当局から破産手続開始の申立てを行える範囲を、金融商品取引業者全般だけでなく、無登録業者にも拡大すべきである。


  5. 被害予防・救済のための個別的法整備
    携帯音声通信事業者による契約者本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律を改正し、固定電話・IP電話(インターネットプロトコル電話)を適用対象とするとともに、固定電話・IP電話のレンタル業者に対しても、本人確認義務を課すなどの規制を行うべきである。

(※本文はPDFファイルをご覧下さい)