第12回国連犯罪防止刑事司法会議日弁連報告書(2010)

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2010年3月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

国連犯罪防止刑事司法会議における議論や決定は日本を含む各国の刑事司法制度に大きな影響を与えています。よりよい刑事司法制度の創出に貢献すべく、同会議に対し以下のとおり意見を提出しました。

 

  1. 国連の基準・規則の重要性
    (a)各国において国連の基準・規則の利用がいっそう促進されるべきである。また、コングレスやコミッションにおいて、新たな基準・規則の制定に向けた取組みがなされるべきである。
    (b) 本コングレスにおいて、女性被拘禁者に対する処遇及び女性犯罪者に対する非拘禁的措置に関する国連原則草案の採択に向けた積極的な措置がなされることを期待する。
  2. 国際組織犯罪・テロリズム対策における人権
    (a) 国際刑事立法の過程に、国際NGOなど市民社会の多様な要素が含まれるよう配慮を求める。
    (b) テロリズム対策は、国際人権基準を遵守してなされるべきである。
    (c) 法律家は、テロリズム対策のため国際人権基準に照らして受け入れ難い制度・措置が提案された場合に、公に反対すべきである。
    (d) 国連は、テロリズム対策の諸措置が国際人権基準を切り崩すものとならないよう強く勧告する内容を本コングレスの最終宣言に盛り込むべきである。
    (e) 国連は、テロリズム対策の諸措置が国際人権基準を切り崩すものとならないよう強く勧告する内容を本コングレスの最終宣言に盛り込むべきである。
  3. 刑事拘禁制度の改革
    (a) すべての国が、刑務所における第三者監視と刑務所改革への市民参加のため、査察機関の活動を重視し、拷問等禁止条約選択議定書(OPCAT)の批准を進めるべきである。
    (b) すべての国が、矯正施設の過剰収容問題について、施設の拡充とともに、社会復帰の観点を踏まえた非拘禁化の政策を追求すべきである。
  4. 人身取引に対する取組み
    (a) 人身取引はその防止こそが最大の対策であり、各国はそのための対策を十分に講ずべきである。
    (b) 人身取引対策を実効的に行うため、各国は、対策の企画・立案・実施・検証等を一元的に責任をもって行う機関を設置すべきである。
    (c) 人身取引の被害者が、その有する法的権利を実効的に行使できることが必要であり、そのため各国は、国費による弁護士費用・裁判費用の負担を法律で規定するなど、法制度を整備すべきである。


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