法科大学院の認証評価基準改定についての意見

2009年8月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

法科大学院の認証評価基準については、この夏にも各認証評価機関において改定に向けた本格的検討作業が開始される見通しです。同改定作業に際し、各認証評価機関において少なくとも以下の諸点について留意した検討が行われるよう、本意見を述べるものです。


本意見の趣旨

本意見の趣旨は以下のとおりです。


  1. 科目群間のバランスを保つための認証評価基準を堅持し、展開・先端科目や基礎法学・隣接科目が軽視されることのないようにすること。
  2. 理論と実務の架橋に留意し、法律基本科目と法律実務基礎科目の連携を推進し、教育内容を精選することで両者のバランスのとれた発展を促すべきこと。
  3. 法律実務基礎科目の必修単位を10単位以上に増加させるとともに、とりわけ臨床科目の充実が目指されるべきこと。
  4. 1年次の法律基本科目の単位数を増加することが制度上可能となっても、まず教育内容と方法の改善が推奨されるべきであり、単位数増加が事実上強制されるようなことはあってはならないこと。
  5. 学生の自学自習を支援し、その自発的取組みが実効的に確保されるよう配慮されるべきこと。
  6. 学生が複数の法分野・領域にまたがる紛争の実情を理解し、文章作成能力や事案解析能力など法律実務家として必要な能力・技能を修得するための丁寧な教育指導が推進されるべきこと。
  7. 認証評価の目的は法科大学院教育の向上・発展にあり、例えば形式基準をことさらに重視することによって、各法科大学院の創意工夫の意欲を削ぐようなことがないように留意されるべきこと。
  8. 認証評価は、各法科大学院の教育に対する取組みを評価の対象とすべきであって、司法試験の合格数(率)の取扱いについては、独立の評価項目とすべきではないことはもとより、試験で試せない重要な資質・能力を涵養する取組みを積極的に評価するなど、多面的かつ慎重な配慮を要すべきこと。

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