裁判員裁判の運用に関する意見書

2009年2月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は「裁判員裁判の運用に関する意見書」を取りまとめ、最高裁判所長官、法務大臣および検事総長宛に提出しました。


意見の概要

 裁判員裁判の運用にあたっては、以下の点について実現されるべきである。

  1. 公判前整理手続について
    (1)公判前整理手続においては弁護人側が十分に準備できる期間が確保されること。
    (2)公判前整理手続において、弁護人の方針に関わる事項について、争点や証拠の絞り込みを強行するような運用が行われてはならないこと。
    (3)審理計画の策定にあたっては、余裕をもった審理計画を立てる必要があり、必要な審理と評議のための時間が犠牲にされてはならず、「拙速」裁判とならないようにすること。また、審理計画は予定にすぎないことを確認し、当初の審理計画に拘泥するあまり、公判審理における主張・立証が不当に制限されることのないようにすること。
    (4)公判前整理手続における争点および証拠の整理にあたっては、必要な証拠開示がなされるべきこと。


  2. 評議について
    (1)裁判員に対しては、無罪推定の原則等の刑事裁判の原則をはじめとする判断に必要な基本的概念や、量刑資料の位置づけについて、繰り返し、十分に説明されるべきこと。
    (2)裁判員がそれぞれの意見を自由闊達に述べ、十分に議論ができるよう、評議の進行が工夫されるべきこと。
    (3)裁判官が意見を述べるにあたっては、裁判員が従うべきルール等の説明とは明確に区別し、合議体の一構成員としての意見であることが明らかになるようにすること。


  3. 国選弁護人は、原則として複数選任される運用とすること。


  4. 勾留中の被告人の「手錠、腰縄」姿を裁判員が目にしないために、必要な措置が講じられること。


  5. 公判廷内での被告人と弁護人の意思疎通を確保するため、被告人の着席位置やメモの授受等について適切な配慮がなされるとともに、裁判所構内での接見の機会が十分に確保されること。


  6. 公判前整理手続及び公判の準備にあたり、被告人と弁護人の意思疎通の機会を十分に確保するため、保釈の運用が改善されること。


  7. 裁判員制度の広報にあたっては、事件の内容に拘わらず「3日」など短期間で審理が終了すると受け取られないように説明をすること。


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