規制改革会議による平成20年12月22日付け「規制改革推進のための第3次答申-規制の集中改革プログラム -」に対する意見書

2009年2月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

規制改革会議は、2008年12月22日に「規制改革推進のための第3次答申-規制の集中改革プログラム-」を決定し、公表しました。


答申はさまざまな分野にわたり言及があり、その問題点も多岐にわたりますが、取り急ぎ、同答申中、「法務・資格分野」の「(3)業務範囲の見直し」、「(4)ADR法の「弁護士の助言措置」の適正な解釈・運用の周知徹底」、「(5)法曹人口の拡大等」の予備試験制度部分及び「(8)その他」の「イ 上陸口頭審理及び違反口頭審理手続きへの行政書士の参画」について、日弁連の意見をとりまとめ、規制改革推進本部、内閣府特命担当大臣(規制改革)、規制改革会議に提出しました。


意見の概要

  1. 業務範囲の見直しについて


    司法制度改革が実行されつつある現段階において、司法制度改革審議会・司法制度改革推進本部におけるこれらの議論や検討の経緯と切り離してこの問題のみを議論することは、不適切である。法科大学院の整備とともに法曹人口が現に順調に増加しており、今後もさらに弁護士人口は大幅に増大すると確実に見込まれるのであるから、隣接士業のさらなる業務拡大は、認めるべきではない。


  2. ADR法の「弁護士の助言措置」の適正な解釈・運用の周知徹底」について


    規制改革会議第3次答申は、隣接士業団体等が「弁護士の助言」措置を得るために、当連合会が定めたガイドラインに従って協定を結ばざるを得ない立場となっていると指摘するが、認証を取得した団体中の大半がこのような協定を締結していないことからしても、このような指摘は誤りである。


    したがって、当連合会が、隣接士業団体等に、「不利益的な取扱い」を行ったかのような指摘は、事実に反する。


    日弁連ガイドラインは、各弁護士会が所属する弁護士を、「ADR機関として適格として認めた品質」をもつ「ADR機関」に対し、推薦するための基準である。


    したがって、日弁連ガイドラインが「ADR機関の自立性・多様性に著しい制約を課す内容となっている」との結論は、全く根拠のない誤った見解である。


    また、日弁連ガイドラインに基づき締結された協定に違反があった場合に、抗議をすることは当然の行為であり、「このような行為は不公正な取引方法を強いるもので」もないし、また、「競争政策上極めて問題がある」との指摘も当を得ないものである。


  3. 予備試験制度部分について


    法科大学院こそが法曹養成制度の中核であり、予備試験制度は、本来、「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者」を想定したごく例外的な制度である。また、法科大学院における「プロセス」としての養成を経た成果と同等の能力を、予備試験という「点」による選抜で判定することには原理的に限界がある。したがって、予備試験については、あくまでも法科大学院修了者が新司法試験受験者の大部分を占めるよう運用されるべきである。


  4. 上陸口頭審理及び違反口頭審理手続きへの行政書士の参画について


    上陸口頭審理について行政書士が業として代理することは、明らかに弁護士法第72条に違反するものであって許されない。
    上陸審査・違反審査手続に適切に関与しうるのは、刑事手続の素養のある弁護士のみなのであって、行政書士が適切に対応できるとは到底いえない。

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