新潟県中越沖地震を契機とした原子力施設の安全性及びその再評価に関する意見書

2008年12月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

2007年7月に発生した新潟県中越沖地震は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所にも甚大な被害を及ぼしました。


当連合会は、その被害状況、また、安全性確保のための制度上の問題点等について、現地調査や関係者・研究者からのヒアリング、原子力安全・保安院宛の照会等を実施して検討を行い、2008年12月19日に「新潟県中越沖地震を契機とした原子力施設の安全性及びその再評価に関する意見書」を取り纏めました。


本意見書は、2009年1月15日に内閣府原子力安全委員会、同年1月20日に原子力安全・保安院、東京電力株式会社、資源エネルギー庁に提出しています。


意見書の趣旨

  1. 柏崎刈羽原子力発電所について、

    (1) 国は、新潟県中越沖地震を踏まえた新指針に対応した耐震安全性再評価を、総合資源エネルギー調査会内に設置された委員会に行わせるべきではなく、推進機関と分離した公正な第三者機関にこれを行わせるべきである。

    (2) 経済産業大臣は東京電力に対し、前項の耐震安全性再評価が完了するまで、原子炉等規制法第36条第1項、電気事業法第40条に基づき柏崎刈羽原子炉施設の使用停止命令を発するべきである。

    (3) 国は、新潟県中越沖地震の原子炉への影響を徹底的に調査し、また、中越沖地震の地震動が大きくなった原因を究明するべきである。

    (4) 東京電力は、弾性域を超えた応力が発生した柏崎刈羽原子力発電所の機器・配管を使用すべきではない。

  2. 国は、原子力利用に関する推進機関と規制機関を速やかに分離し、安全規制を一元的に担う独立行政機関を設立し、同機関による全ての原子力施設の耐震安全性再評価をすべきである。

  3. 国は、地震災害時の原子力安全・保安院等による情報提供、地震の原発設備への影響調査の為の行政独自の情報収集、迅速な風評被害救済のための法制度を、早急に整備すべきである。

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