被疑者補償法の制定を求める意見書

2008年12月18日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、被疑者補償法の制定を求める意見書をとりまとめ、2008年12月26日、法務大臣宛に提出いたしました。


本意見書要旨

1 意見の趣旨
別紙被疑者補償法案要綱案を骨子とする被疑者補償法が制定されるべきである。


2 意見の理由
現行法上、「無罪の裁判を受けた者」は刑事補償法により抑留又は拘禁による補償を請求することができる。他方、未決の抑留又は拘禁を受けた後不起訴処分となった場合には、無罪等の裁判が存在しないため刑事補償法による補償の対象とはならないが、法務大臣訓令である被疑者補償規程により、検察官が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があると裁定すれば、刑事補償法と同様の補償を受けることができる。

しかし、刑事補償法による補償が権利性を付与された請求権であって、裁判所の決定により補償額が決定され、この決定に対しては即時抗告も可能であるのに対し、被疑者補償規程による補償申出は、検察官の職権発動を促すものに過ぎず、検察官の補償をしないとの裁定には処分性がなく、司法・行政による審査にも服さないと解されており、適切な補償がなされない事例が生じている。


3 本要綱案の構想
被疑者補償の法制化については、幾度となく国会において審議がなされ、法案も提出されたが、主として起訴便宜主義・起訴独占主義との関係において、被疑者であった者に補償請求権を付与する内容での法律化を図ることや行政不服審査法による不服申立の対象とすることは、その権利性が前提となり、当面困難と判断される。

そこで、本要綱案では、
(1)被疑者補償請求権として構成すること及び補償をしないとの裁定に処分性を付与することはせず、
(2)したがって、司法審査及び行政不服審査法の対象とせず
(3)被疑者補償法をもって、検察官の補償をしないとの裁定の性質に応じた不服申立の制度を創設することとし、
(4)その審査機関を検察審査会とすること

を基本的な構想とした。                


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