環境影響評価法改正に係る第一次意見書
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2008年11月18日
日本弁護士連合会
本意見書について
日弁連では実効的な環境影響評価制度の確立に取り組み、これまで1996年10月、1997年2月、同年4月及び同年12月にそれぞれ意見書を発表しています。
現行環境影響評価法が2009年6月に全面施行後10年目の見直し時期を迎えることから、同年の見直しの方向性について提言をとりまとめ、2008年11月27日に環境大臣宛に提出しました。
意見の要旨
本意見書における提言内容の重要論点は、以下の5点です。
1 評価制度の信頼性確保
現行の評価制度は、事業者自らが評価を行う事業者アセス制度であることから、信頼性を確保するための制度的な仕組みが欠かせない。そのために、環境保全審査会の設置(提言事項1.5)、評価の項目・基準・審査の手続整備(6.1~6.7)などにつき、現行法を見直す必要がある。
2 評価制度の実効性確保
事業者アセス制度の下では、事業者が環境影響評価手続を正しく履践し、その結果を確実に意思決定に反映させる制度的なしくみが必要である。そのためには、戦略アセスメントの導入(1.3)、実施時期の早期化(1.4)、行政調査・命令・罰則規定の整備(1.6)、対象事業の範囲の拡大(2.1)、脱法禁止規定(2.3)、横断条項(同5.1~5.3)、事後調査(10.1、10.2)などにつき、現行法を見直す必要がある。
3 争訟手続の導入
現行法には評価手続に係る争訟制度に関する明文規定がないので、評価手続それ自体の妥当性・違法性を争うことが不可能となっている。この点が上記信頼性・実効性の欠如をさらに助長する結果となっている。それ故、新たに不服申立制度を設け、住民等につき行政上及び司法上の救済手続を整備する必要がある(8.1~8.3)。
4 代替案検討の明記
評価制度の目的は、環境に配慮した合理的な意思決定を科学的・民主的な手続の下で行うことであるが(1.1)、そのためには早い時期からの代替案の検討が不可欠である。現行法の代替案に関する規定は極めて不十分なので、方法書作成の段階から合理的な範囲の代替案の検討を義務づけるなど、代替案に係る手続規定を整備する必要がある。
5 手続原則の明記等
上記のような評価制度の目的達成のためには評価手続の一般原則を明記し、これを各評価手続の特性に応じて具体的に手続保障する必要があるが、この点に関する現行法の規定内容は極めて不十分である。それ故、評価手続につき透明性の確保、市民参加、説明責任、情報公開の徹底を図る必要がある(1.2、7)。一方、地方分権・地方自治の制度的保障の趣旨、地域環境の保全は地域に精通し一番の利害関係をもつ地方公共団体の責務と考えられるので、このような観点から、環境影響評価法と同条例との関係についても、現行法の見直しが必要である(9)。
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