法曹人口問題に関する緊急提言について


2008年7月18日
日本弁護士連合会


本提言書について

本日、当連合会は、理事会において「法曹人口問題に関する緊急提言」を採択しました。


  1. 当連合会は、「市民のための司法」を実現すると言う司法改革の基本理念に基づき、過疎偏在の解消など市民のアクセス改善に取り組み、着実な前進を果たしてきました。また、来年から始まる本格的被疑者国選、裁判員裁判等への態勢の整備にも全力で取り組んできており、今後とも、これら司法改革の諸課題を力強く前進させていく決意です。
    司法改革の重要な柱の一つである人的基盤整備の課題につきましても、新しい法曹養成制度の中核である法科大学院教育に対し、いろんな支援を行ってきましたし、今後も、より一層のサポートをしていく決意です。


  2. 今回の提言は、司法改革を推進する立場を堅持しつつ、多くの新規法曹を受け入れている立場から、人口急増のスピードが法科大学院、司法試験、司法修習、オンザジョブトレーニングに至る一連の養成過程において、法曹の質を維持するうえにおいて様々なひずみをもたらしている事実を直視し、増員のペースをスピードダウンして、ひずみ解消の方策を見いだしていこうとするものです。


  3. 司法制度改革審議会が提起した司法改革を実現するためには、司法予算を大幅に増やし、裁判官・検察官の増員や民事法律扶助を飛躍的に拡充するなどの措置が必要不可欠であり、官庁や企業の採用枠の拡大など新規法曹が広く社会に受け入れられる措置も不可欠です。法曹人口の増加をはかるうえでは、そうした司法制度改革の統一的な実現が必要であり、これらの課題につき、政府・関係諸団体に一層の努力を要請するものです。


  4. 当連合会としても、高い倫理を持ち、多様な市民のニーズに応えられる能力を持った多くの弁護士が社会のすみずみに進出していくよう、今後も努力していきたいと考えています。 
    そのためにも、一連の法曹養成過程全体の成熟に向けて、関係機関との協議をすすめ、努力を尽くす所存です。
    なお、将来的な法曹人口や養成過程の在り方などを検討するため、新しい組織を会内に設けました。そこでの検討を続けて、更なる提言をしていきたいと考えています。

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