即決裁判手続に関する制度上及び運用上の要改善点について(意見)

2008年6月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

2006年10月に即決裁判制度が開始されたことを受け、日弁連では、同制度を利用した事案で弁護人を経験した会員にアンケートを行い、運用状況等について調査・分析を行いました。


その結果、同手続実施前の想定とかけ離れた運用は行われていないものの、法制度上あるいは運用上の改善を求めるべきと思われる点も垣間見られました。
そこで、当連合会は以下の点について改善を求めることといたしました。


  1. 裁判所に対して
    (1) 刑事訴訟規則(以下「刑訴規則」という。)を改正し、即決裁判手続に付された被告人への、弁護人選任に関する通知(刑訴規則222条の15)、弁護人選任照会及び被告人からの回答(同222条の16)の方法としてファクシミリを使用することができることとし、裁判所から日本司法支援センターへの指名通知依頼を迅速化できるようにすること
    (2) 要通訳事件につき、時間的配慮が求められること
    (3) 公判期日の開廷時間は、情状立証の内容等との関係で柔軟な対応を行うこと
    (4) 弁護人の立証活動に一律に制限を加えることがないようにすること
  2. 検察庁に対して
    (1) 即決裁判手続の選択の際には、起訴猶予、略式命令請求等の従来からの処分との均衡にも配慮すること
    (2) 被疑者に対する検察官からの即決裁判手続の説明は、被疑者がメリット、デメリットを十分に理解できるよう詳しく丁寧になされるべきこと
    (3) 証拠開示は、証拠等関係カードを備えた状態で、起訴と同時に開示することを原則とすべきこと
  3. 法務省および司法支援センターに対して
    即決裁判手続についての国選弁護報酬を引き上げるべきこと

本意見書は、最高裁判所、最高検察庁及び日本司法支援センターに提出いたしました。

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