生活保護利用者の通院移送費削減に関する通知の撤回について(要望)
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2008年5月21日
日本弁護士連合会
本要望書について
厚生労働省は、2008年4月1日、全国の自治体に対し、「『生活保護法による医療扶助運営要領について』の一部改正について」と題する社会・援護局長の通知を出しました。その内容は、生活保護を受けながら病気を治療中の人に支給されている「通院移送費(交通費)」について、これまで「最低限度の移送を原則として現物給付する」としていた取扱いを大きく変更し、「身体障害等により、電車・バス等の利用が著しく困難な者であって、当該者が最寄りの医療機関に受診する際の交通費が必要な場合」など例外的な場合にのみ限定して支給するものとし、しかも、受診する医療機関については、原則として福祉事務所管内の医療機関に限るとしています。
これによって、これまで支給されていた通院移送費のほとんどが支給されなくなり、生活保護利用者としては、生活費等を切り詰めて通院費用を捻出しなければならなくなり、実質的には「保護基準の引き下げ」を意味しています。 この事態は、憲法第25条で保障された生存権の侵害につながりかねず、また、生活費等からの捻出が困難な人にとっては、通院を抑制あるいは断念しなければならず、生命や健康が危険にさらされることにつながり、これは生活保護利用者の「適切な医療を受ける権利(国際人権規約社会権規約第12条2項)」を侵害するものでもあります。
そこで、日本弁護士連合会は、上記通知につき、撤回することを求める要望書を取りまとめました。
本要望書は、2008年5月21日に厚生労働大臣宛に提出いたしました。
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