「社会保障番号」制度に関する意見書

2007年10月23日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2002年10月11日に開催された第45回人権擁護大会で採択された「自己情報コントロール権を情報主権として確立するための宣言」において、個人の統一的管理システムの構築を認めないこと、住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)の稼働停止を求めることを宣言するなど、一貫して、住基ネット、特に同制度において創設された住民票コードがプライバシー権に及ぼす深刻な問題性を指摘し、反対しています。


今般創設されようとしている「社会保障番号」は、(1)付番対象者を日本人以外の在留外国人にまで拡大した、(2)生涯不変の番号とし、(3)民間利用を前提としており、(4)名寄せ・データマッチングのマスターキーたる「共通番号」として利用することを積極的に評価するなど、住基ネットにおける住民票コードと比べても、遥かにプライバシー保護への配慮を欠いています。このような制度の導入は、プライバシーに対する重大な脅威をもたらすことは明白であることから、日弁連は2007年10月23日付で意見書を厚生労働大臣等に提出致しました。


意見書の趣旨は以下の通りです。


この「社会保障番号」制度は、(1) 米国の社会保障番号と同様のプライバシー侵害が必然化すること、(2) 納税者番号として利用することによってプライバシー侵害が極大化すること、(3) 費用対効果を高めることがプライバシー侵害の危険を高めること、(4) 不正閲覧、成りすまし等のプライバシー侵害等も発生すること、(5) 導入目的の合理性が欠如していること、が問題点としてある。


「社会保障番号」制度、プライバシー保障の観点から重大な問題が存する住基ネットや住民票コードと比べても、(1)付番対象者の拡大、(2)番号の固定性、(3)利用分野の拡大、(4)カード交付の強制、(5)制度目的などの面で、明らかにより深刻な問題をかかえているといわざるを得ない。よって、社会保障番号制度の創設には、反対である。

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