仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則の一部を改正する省令の制定に関する意見書

2007年8月31日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

2007年8月3日、法務省は、「仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則の一部を改正する省令案」について意見募集を行いました。改正案の趣旨は次のとおりです。


  1. 仮釈放及び仮退院の審理において犯罪被害者等から意見等を聴取する制度及び犯罪被害者等の心情等を保護観察対象者に伝達する制度が導入されることに伴う細則
  2. 家庭裁判所の決定により保護観察に付された者が保護観察の期間中遵守すべき事項を遵守しなかった場合における警告等の措置が導入されることに伴う細則

日弁連は、この二点について意見書をとりまとめ、本年9月3日に法務大臣に提出いたしました。


意見書の概要は以下のとおりです。


1.被害者等の意見等の聴取について

日弁連は、既に本年3月22日に公表している「→更生保護法案に対する意見書」でも指摘しているように、特に「仮釈放等の審理にあたって、斟酌される被害者等の意見は、刑の確定から仮釈放(仮退院)までの期間に、受刑者(少年院在院者)側に発生した事情を知った上でのものが望ましい。この前提なしに、被害者等の意見を過度に尊重することは、受刑者(少年院在院者)の仮釈放等の機会を狭めることになるおそれがある」ので、更生保護法の施行前倒しのための本省令にはその手続規定を設けるべきであると考えます。


2.警告及び少年法第26条の4第1項の決定の申請について

日弁連は、少年法等の一部を改正する法律については、「遵守事項違反に対する警告及び少年法第26条の4第1項の決定の申請」(同法第67条)の新設についても反対の意見を表明しており、特にこれを前提とする更生保護法第67条についても反対の意見を表明していましたが、今般、更生保護法及び少年法等の一部を改正する法律が成立しました。
日弁連としては、少年法等の一部を改正する法律を受け、更生保護法第67条の規定が同法の施行に先立って前倒しで施行されることになったことは誠に遺憾ですが、次善の策として、その前倒し施行に当たっては、日弁連が懸念している保護司と対象少年の信頼関係を損なうことのないような形での細則が整備され運用されることを強く望むとともに、安易に遵守事項違反を施設収容に結びつけないような運用細則の制定や通達の発令を含めた特段の配慮を望みます。

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