「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」に関する政令(案)、内閣府令(案)に対する意見

2007年8月3日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

金融庁は「貸金業の規制等に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」及び「貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)(案)」を公表し、2007年8月6日まで意見を募集しています。


日本弁護士連合会は2006年12月20日に公布された「貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」(以下、法という。)を多重債務者救済のための抜本改正であると評価していますが、今回の政令(案)、内閣府令(案)については主に以下の点が再検討すべきであると見受けられるので、別紙の通り意見を述べるものです。


→法施行規則(内閣府令(案))10条の22
法は13条の2で過剰貸付を禁止したが、その例外を内閣府令で規定することとした。法施行規則(内閣府令(案))はこれを受け、10条の22で、有価証券担保貸付、売却予定不動産がある場合、緊急医療費のための貸付、配偶者と合算して年収の3分の1以内の貸付、個人事業者向けの貸付などを規定した。

しかし、法施行規則(内閣府令(案))10条の22で規定している個人過剰貸付は、本来、顧客の返済能力を超えた過剰貸付である。従って、厳格な要件のもとに、ごく少数に定められなければならない。多くの例外を認めるのでは法13条の2の規定が骨抜きになり、安易な脱法を許しかねない。法施行規則(内閣府令(案))10条の22の規定は広範に過ぎる。


→法施行規則(内閣府令(案))11条第3項
多重債務の要因の一つと言われる安易な借入は、借入をする者がどのくらいの負担をするかが分かりにくいということが上げられる。従って返済総額の記載を義務付けるべきである。


→法16条の2第3項(契約締結前の書面の交付)関係
保証人を巡るトラブルの多くは、すでに債務者の支払能力が悪化していることを知らせずに保証人にしてしまうことにある。従って、保証人に「主たる債務者の既存債務額」及び「主たる債務者の当該貸金業者に対する債務不履行事実の有無」等を知らせるべきである。


→法16条の2第2項等の書面のIT化、法18条第1項等の書面のマンスリーステートメント方式関係
法は、債務者等に交付する書面のIT化や、ある程度の期間をまとめて送付するマンスリーステートメント方式によることを認めている。しかしこれらは、単に方式を代えるに過ぎないのであり、これらのことによって債務者等の利益を害してはならないことは当然であり、債務者の不利益にならないような方式にすべきである。

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