犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる被害者参加制度に対する意見書
本意見書について
政府は、2007年3月13日に「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出しました。
日弁連は、これまで、犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することに関し、2005年6月17日と2006年12月15日に発表した二度の意見書をもって意見を述べてきましたが、同法案が新設しようとする被害者参加制度について、あらためて意見書を取りまとめ、関係省庁、衆参両院法務委員会、各政党に提出いたしました。
意見の概要は以下の通りです。
第1 意見の趣旨
法案が新設しようとする被害者参加制度はの導入には、慎重であるべきであり、直ちに導入することに反対する。
第2 意見の理由
- 犯罪被害者支援には、まず以下の制度の導入こそが必要である
被害者等の検察官に対する質問・意見表明制度の導入
犯罪被害者等に対する公費による弁護士支援制度の導入
- 本被害者参加制度を直ちに導入することに反対する理由
(1)真実の発見に支障をきたす
(2)刑事訴訟の構造を根底からくつがえす
(3)被告人の防御に困難をきたすおそれがある
(4)少年の刑事裁判ではさらに深刻な問題がある
(5)事実認定に悪影響を及ぼし裁判員制度が円滑に機能しなくなるおそれがある
証拠法則が空洞化するおそれがある
裁判員制度が円滑に機能しなくなる
(6)外国の制度はその基盤・背景に大きな相違がある
- 現時点において直ちに被害者参加制度を導入することは、刑事裁判の本質に照らし将来に取り返しのつかない禍根を残すことになると思料する。以上の諸点について、国会において国民が納得のゆくように徹底的に審議を尽くすべきである。
以上
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