改正商品取引所法第214条の2(損失補てん等の禁止)の省令に関する意見書

2007年2月16日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

商品先物取引による消費者被害が後を絶ちません。最近10年間でその被害は急増しており、金融商品取引法に関する国会審議の中でも、商品先物取引の顧客・投資家の被害救済活動が重要であることが指摘されました。


ところが、金融商品取引法制定に伴う商品取引所法改正(2006年6月)により、商品先物取引の分野に、顧客・投資家の被害救済活動に重大な支障をもたらしかねない制度が新たに設けられました。「損失補てん禁止」の制度です。


証券取引の分野では、1991年の証券取引法改正によりこの制度が導入されましたが、制度導入後、業者側が「損失補てん禁止」を口実として示談解決を拒否するようになり、証券被害事件の救済活動に重大な支障を来しました。


もともと証券取引における「損失補てん禁止」は、大手証券会社による大企業等への損失補てん行為が証券不祥事として社会問題化したことを背景として導入されたものですが、商品先物取引の分野ではそのような社会的実態は報告されておらず、被害救済活動を犠牲にしてまで、厳格な「損失補てん禁止」を導入する必要は存しません。


当連合会は、金融商品取引法制定に伴う商品取引所法改正に際しても、商品先物取引の分野に「損失補てん禁止」を設けることに反対してきました。今般、改正法に同制度が導入されたことを受けて、同制度を具体化する省令の制定にあたっては、証券取引法と同一の規律によらず、被害救済活動に支障を及ぼすことのない規律を行うべきとの観点から、2007年2月16日、「改正商品取引所法第214条の2(損失補てん等の禁止)の省令に関する意見書」を採択しました。その要旨はつぎのとおりです。


商品取引所法の「損失補てん禁止」の適用除外事由として、証券取引法において適用除外事由として定められている事由の他、次の事由を定めるべきである。


  1. 顧客の代理人として弁護士がその名義で商品取引員との間で和解契約書を作成する場合
  2. 弁護士会の仲裁センター等の弁護士会が設置する紛争解決機関においてなされる仲裁手続きによる仲裁判断がなされた場合及び和解あっせん手続きによる和解成立の場合
  3. 訴え提起前の和解(民事訴訟法第275条による即決和解)

この意見書は、2007年2月19日、経済産業省及び農林水産省に提出しました。

(※本文はPDFファイルをご覧下さい)