電子登録債権法制に関する中間試案についての意見書

2006年8月23日
日本弁護士連合会


本意見書について

法務省は、2006年8月1日、「電子登録債権法制に関する中間試案」を公表し、意見募集を行いました。


近時、金銭債権を活用した資金調達の様々な手法が議論されておりますが、従来の指名債権の譲渡については、債権の存在を確認するためのコストがかかり、その上二重譲渡や人的抗弁の対抗を受けるリスクもあります。また、手形の場合には、盗難や紛失のリスクがあり、券面の作成・保管・運搬のためのコストや印紙税もかかります。このようなリスクやコストを軽減し、取引の安全を確保しつつ、流動性を高めるための新しい法制度を創設しようというのが、本件電子登録債権制度です。


電子登録債権を利用したビジネスモデルとして、手形の電子化と同一の効果を期待した利用法、一括決済方式への活用、シンジケートローンの流動化、グループ会社間のキャッシュマネジメントシステムへの活用などが想定されています。経済界にはこのような社会的ニーズがあると言われていますが、本法制は電子登録債権の一般法を創設するものであるところ、たとえば住宅ローンや消費者金融の小口ローンなども対象となりうるものであるため、本法制度の創設自体に懐疑的意見もあり、また消費者保護の観点を重視した制度設計にすべきであるとの意見もありました。


この意見書は、2006年8月23日の理事会で承認され、8月31日に法務省民事局参事官室に提出されました。


(※本文はPDFファイルをご覧下さい)