輸出入取引審議会調整部会(知的財産権侵害品の貿易管理の在り方について)の中間とりまとめに対する意見

2006年6月1日
日本弁護士連合会


本意見書について

意見募集対象の問題は2つ。いずれも知的財産権侵害品の水際手続に関するが,全く次元の異なる問題である。本意見書は,両問題に関する昨年度の当連合会の意見書(H17/10/27,同11/25)に基づくものである。


第1 知的財産権侵害品の水際手続の改善について

  • 第一の問題は,現行の税関における水際制度の大枠の改革に関する大きな問題提起である。「中間とりまとめ」は,当事者の手続保障及び審理判断における技術的・法律的専門性を確保する必要性の観点から,新制度を設ける改革案を提案している(意見書5頁のフローチャート参照)。
  • 本意見書では,この「中間とりまとめ」の方向性は基本的に当連合会の求める改革を指向するものと評価した上で,具体的な方法論について,今後,検討を深めるべき論点を指摘。
論点1 制度改革の基本的方向

平成18年改正関税定率法(関税法)によっても,当事者の手続き保障及び判断の専門性の確保は不十分であり,現行制度改革の必要性は明白。


論点2 専門性をもって侵害判断する仕組み

裁判所判断を活用する仕組みを積極的に講じるべき。


論点3 裁判所の仮処分等を行政手続で利用してよいか

論点2のとおり適切。


論点4 新制度と関税定率法の申立て制度との分担関係

両方のニーズに応える制度を,両制度の整合性を保ちつつ構築すべき。実務上の侵害判断の難易に鑑みると,権利の種類による分離型よりも並立型の方が合理的。


○今後,検討を深めるべき論点

水際制度における第三者手続き保障を確保する観点から検討すべき論点を現行の関税法ルート及び外為法ルートのそれぞれについて指摘。


第2 模倣品・海賊版の非営業者による輸入について

  • 第二の問題は,非営業者による輸入が知的財産法では侵害行為にあたらないことに着目した「個人輸入を偽装した模倣品・海賊版の輸入」の取締策を提案している。外為法に基づく経済産業大臣告示を改正して,知的財産権侵害品の輸入につき非営業者を含めて外為法52条の大臣承認を受けることを義務づけた場合の,原則不承認(X)案、または原則承認(Y)案(承認申請を輸入実績等により審査し,非営業者であれば原則承認)を提案。
  • 本意見書では,従前の当連合会の基本的考え方(「業」要件の解釈による解決が妥当)に照らし,Y案が妥当とした。

以上


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