「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱」に対する意見

2006年(平成18年)2月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(以下、「均等法」という。)は、制定から20年が経過し、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会にて改正に向けての検討が進められてきました。2006年1月27日、厚生労働省は、労働政策審議会に対して、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱」(以下、「法律案要綱」という。)の諮問を行い、同審議会は、同年2月7日、それを概ね妥当とする答申を行っています。厚生労働省は、この答申を受けて関係法案を作成し、現在開催中の通常国会へ提出する予定です。


日弁連では、この間の均等法の運用や男女差別賃金訴訟等による救済の実情等をふまえ、実効性ある法改正をめざして、2005年6月16日に均等法の改定に関する意見書を発表していますが、上記法律案要綱の内容は、この意見書と重要な点で大きく異なり、看過できない問題を含むものとなっているため、特に重要な問題点を指摘し、意見をとりまとめました。


意見の趣旨は下記の4点であり、2006年2月21日に厚生労働省に対し意見を提出しました。


  1. 間接差別について
    日弁連は、間接差別の禁止を法律に盛り込むことには賛成であるが、間接差別となるものを限定列挙することには反対である。指針による例示列挙とすべきである。
  2. 仕事と生活の調和の明記について
    法の目的・理念に「仕事と生活の調和」を明記し、啓発活動(現行均等法3条)や基本指針(同4条)の内容、厚生労働大臣による調査等(同24条)の対象として明示すべきである。
  3. 差別的取扱いを禁止する雇用ステージの明確化・追加について
    間接差別について、均等法が直接差別を禁止している各雇用ステージに関するものとして規定されているので、「賃金」についても差別的取扱いを禁止する雇用ステージに追加し、この法による救済の対象となることを明確にしておく必要がある。
  4. 積極的差別是正措置について
    積極的差別是正措置(ポジティブ・アクション)について、事業主がその実施状況を開示し、又は開示しようとする場合に国が援助できると規定するのみとなっているが、事業主にそれらの措置を実施すべき義務を課する規定を設けるべきである。

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