著作権法施行令の改正に対する意見

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2004年10月7日
日本弁護士連合会


当連合会は、いわゆるレコード輸入権(以下「レコード輸入権」という。)に関する著作権法の一部改正について、下記のとおりレコード輸入権の創設そのものに反対しており、本来なら早期見直しを図るべきである。しかしながら、同改正法の下において、著作権法第113条新第5項本文の「7年を超えない範囲内において政令で定める期間」を短く定めることは、国民へ負担をかける期間を限定するという意味で好ましいことである。したがって、これを4年と定める著作権法施行令の改正については、法律の定める7年という上限よりは短いという点で評価できるが、より短い期間にすることが望ましい。あわせて、著作権法第113条新第5項に定める「著作権者又は著作隣接権者の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる場合」の事実認定基準及び認定に至る手続き等の運用の詳細を事前に明らかにするよう要望する。



  1. 「知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会『コンテンツビジネス振興に係る課題について』に対する意見」(2003年10月29日)
  2. 「『文化審議会著作権分科会報告書(案)』に対する意見書」(2003年12月18日)

何故に「邦楽」レコードのみ保護され、外国のレコードと差別的に扱うのか合理的理由がない。また、この差別を解消するために「洋楽」の輸入盤も輸入権の対象とするなら、現在でも日本の消費者が享受している国際価格を放棄し、日本の消費者のみ高いレコードを買わされることに帰結する。


平成11年の著作権法改正で26条の2が創設され、その2項4号で国際的消尽が明定された。レコード輸入権は、その後の格別の事情の変化もないのにこの法改正を無視することになるのであって制度としての安定性を害すること著しい。また、レコードのみ例外的扱いをする合理的理由もない。


輸入権創設は、日本の消費者のみ高い代金を払わされるということに帰するのであり、日本の消費者に対する文化の伝播を抑制する結果を招来することになりかねないものである。また、日本の著作物を世界的に普及させ、またそれによって同時に外貨を獲得することにもならない。


世界的標準からも、消費者の立場を一気に弱めるものであり容認できないと言わざるを得ない。


なお、海賊版対策は別途の方策でなされるべきである。


以上