ADR手続代理と弁護士法72条問題に関する意見

2004年8月20日
日本弁護士連合会


本意見書について

裁判外紛争解決手続(ADR)における手続代理業務を隣接法律専門職に認めることの適否等についての当連合会の意見は、以下の通りである。


Ⅰ 基本的な考え方

1 基本的視座‐法の支配の観点から弁護士法第72条の趣旨は堅持すべきこと

(1) 法の支配を浸透させるという視座


ADRは、紛争の解決であり、当事者および第三者の法的権利義務の処分・確認を伴うものである。ADRは、主として合意により紛争を解決するものであるが、その合意も法の枠内で行われなければならない。すなわち、当然のことながら、ADRでも法の支配を社会、国民に浸透させるという視座に立たなければならない。2001年6月の司法制度改革審議会意見書も法の支配の浸透を基本理念として掲げている。同じく司法制度改革審議会意見書で提言されたADRの拡充活性化も、法の支配の浸透という視座に立って考えるべきこととなる。


このような視座に立ち、当連合会は、これまでADR拡充活性化の方向性を支持すると共に、弁護士が法の支配の重要な担い手として、ADRの活動の中心に位置しなければならないとの意見を表明してきた。この法の支配の浸透という視座は、ADRにおける手続代理を論ずるにあたっても不動である。


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