「破産法等改正法案」に対する個人の破産・免責手続についての意見書

2004年2月19日
日本弁護士連合会


本意見書について

はじめに

破産法等改正法案(以下「法案」という)が発表され、その中で、個人の破産・免責の見直しにおいては、激増する個人破産に対処し、多重債務者の生活再建を容易にするため、破産手続と免責手続の一体化及び自由財産の拡大がなされた。また、要保護性の見地から、生命侵害等の故意または重過失による不法行為債権や養育費債権は非免責債権とされた。


これらの改正は、当連合会もかねてより意見を表明して、賛成してきたところであり、改めて、2004年(平成16年)の通常国会において早期の法案成立を強く要望するところである。


ところで、法案の中には、以下に述べる通り民事再生法の個人再生手続の利用を萎縮させるべき内容が一部含まれている。


民事再生法の個人再生手続は、個人が自己破産を避けて生活再建を図る制度として、2001(平成13)年4月から施行され、活用されてきた。改正破産法では自由財産の範囲が大幅に拡大されるため個人破産手続においてはほとんどの場合配当は期待できないことからも、最低100万円以上かつ清算価値以上の債権者への返済がなされる個人再生手続の利用促進が望まれこそすれ、狭める必要性は認められない。


当連合会は、破産法等の見直しに関する中間試案(以下「中間試案」という)においても、給与所得者等再生における再生計画が遂行された場合及び民事再生法235条1項の免責(いわゆるハードシップ免責)の決定が確定した場合を新たな免責不許可事由とすることには反対してきた。他方、個人再生手続を改正して、債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権について非免責債権とすることは、「中間試案」においては、「(注)」において「給与所得者等再生における免責及びハードシップ免責の場合の非免責債権の範囲の見直しについては、なお検討する。」とされていたほかには、何ら具体的に照会されていない。その後具体化した段階で当連合会委員からは反対意見が述べられているが、手続的にも唐突で、十分な議論がなされたとは言えない。


従って、これらについては法案からは削除するのが妥当である。


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