知的財産戦略推進計画(案)に関する意見

2003年6月30日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

はじめに

知的財産の分野における「法の支配」は十分であったか、そのための仕組みと担い手について改革すべき点はないのか、知的財産戦略本部における議論は、私たち法曹に対し、鋭くこの問題の解決を迫るものであった。当連合会は、この問題提起に応じ、平成15年5月16日、「知的財産戦略推進計画策定に関する意見」を知的財産戦略本部に提出している。本意見書は、標記のとおり、この度示された「知的財産戦略推進計画(案)」(以下、「計画案」という。)を対象とするものであるが、個別の事項について意見を述べる前に、以下の点を指摘する。


  1. まずは、募集期間の短さである。募集期間は平成15年6月20日(金)から同月30日(月)までとされているが、知的財産戦略本部のホームページに計画案が公表され意見募集が現実に開始されたのは、平成15年6月21日(土)であった。その結果、当連合会ならずとも、一定規模の構成員を擁する団体において計画案に対する実質的な検討を行える期間は、同月23日(月)から同月27日(金)までの5日間しかない。知的財産戦略における計画案の重要性に鑑みると、この5日間という期間は余りにも短すぎると言わざるをえない。
  2. 次に、計画案の「総論」についてであるが、「知的財産立国」実現に向けた取組方針として掲げられた《3つの視点》のうちの一つである「従来の枠にとらわれない、知的財産に関する特例を作る」(6頁)との部分については、それが基本的な我が国の法制度の枠組みや法体系にまで影響を及ぼすものであるときは、法制度全体との整合性に対する配慮が不可欠である。この点についての慎重な対応を求める。

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