統一消費者信用法要綱案
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2003年8月21日
日本弁護士連合会
骨子
現行の消費者信用に関する法制度は、消費者金融(金銭貸付)が貸金業規制法、利息制限法及び出資法により規制され、販売信用(クレジット)が割賦販売法により規制されているという縦割法制のために、規制内容の統一性が図られておらず、規制の実効性確保のための制度も不十分である。そこで、消費者信用取引に関する諸外国の法制(アメリカ〔消費者信用保護法、統一消費者信用法〕など)を参考にして、統一的・実効的な「統一消費者信用法」の創設を急ぐべきである。
当連合会は、これまで「統一消費者信用法」の制定を目指して様々な活動を続けてきたが、この度、以下のような「統一消費者信用法要綱案」を取りとりまとめた。
1 適用範囲
統一消費者信用法で規制される与信業者は、「業として、信用供与取引、そのあっせん及び保証を行う者」のように広く捉えられるべきである。
2 書面交付義務
与信の前及び契約の際に消費者信用取引における与信内容を明確にするために、与信業者に対し、所定の事項(業者名、信用供与額、実質年利率、返済の時期方法など)を記載した書面を消費者(保証人を含む)に交付べき義務と実効性確保のための規定(刑事罰、民事制裁等)を設けるべきである。
3 広告・勧誘規制
- 実質年利率等の表示義務や、容易に与信をを受けられるものと誤認させる表示や徒に利用の意欲をそそる表示などの禁止規定を設けるべきである。
- 与信業者がこれらに違反した広告を行った場合、与信業者が本要綱に反する営業を行った場合に、消費者団体による差止請求権を認めるべきである。
4 クーリング・オフ
販売信用取引については、一定の期間内(所定の書面を受領した日から8日を経過するまでの間)であれば、消費者側から自由に、書面または口頭により、当該契約の解除を行うことができるとする制度を設けるべきである。
5 契約条件規制
消費者信用取引においては、契約の解除や期限の利益の喪失に一定の制約を設ける、期限前弁済の権利を認める、信用供与限度額を一方的に引き上げることを禁止するなどの諸規定を整備すべきである。
6 与信行為規制
与信業者に消費者の支払能力等についての調査義務を課すとともに、与信が禁止される類型並びにその基準(①総債務に対する年間の支払総額が手取り年収の3割を超える与信、②無担保の貸付にあっては与信業者1社につき、手取り年収の1割または50万円のいずれか低い方を超える与信、③与信業者1社につき年間の支払額が年収の1割を超える販売信用)を明確化するとともに、違反の場合には、支払能力を超えた与信部分を請求できないものとすべきである。
7 取立行為規制
現行の貸金業規制法で定められているような取立行為規制を類型化し、違反に対する制裁として、当該債権の行使が制限されるとの規定を設けるべきである。
8 金利・違約金
消費者金融取引の利息と販売信用取引の手数料(金融料)の制限利率を見直して、以下のような規制にすべきである。
- 過去の国内銀行貸出約定平均金利に連動する「連動制」を採用する。
- 制限利率は、過去10年間の平均金利の6%上乗せた数値を上限とする。
- 毎年1回政令で上限利率を見直す。
- その制限利率を超える約定をした場合には契約を無効とするほか、刑事罰則を科す。
9 販売信用(クレジット)取引規制
- 抗弁権接続を認めるべき販売信用取引の範囲として、商品等の販売契約との密接不可分性のあるものを多元的・包括的に取り込むとともに、指定商品制を廃止し、全ての信用供与を行う取引を適用対象とすべきである。
- 抗弁権接続の効果として、未払金の支払停止にとどまらず、既払金の返還につき、与信業者は販売業者と共同責任を負うものとすべきである。
- 販売信用業者は、加盟店たる販売業者の販売活動の適正さや契約履行の確実性を審査・管理する責任を負うことを明文化すべきである。
10 カード規制
消費者から申込を受けないクレジットカードの発行を禁止しそれに違反して発行されたカードは無効とする、業者がカードの譲渡を受けることやカードの担保を設定することを禁止するなどの規制を設けるべきである。
11 保証
消費者信用については、与信業者が消費者と保証契約を結ぶことを禁止し(消費者信用における保証の禁止)、保証が認められる場合(事業者信用の場合)にも、与信業者に対し、保証人に契約締結前及び契約時に保証内容を明記した書面の交付を義務づける、支払能力を超える保証契約を禁止する、一定期間内のクーリング・オフを認めるなどの規制を設けるべきである。
根保証契約については、その危険や弊害に鑑み、主債務者(事業者)の経営に直接関与している者以外の者とは締結を禁止し、例外的に根保証が認められる場合にも、保証期間を制限し追加融資をするときはその都度根保証人にも通知するなどの規制を設けるべきである。
12 監督官庁・開業規制
- 消費者庁(仮称)が消費者行政を統一的に所管し、統一消費者信用法や主要な消費者保護関連法の規制・監督権限を行使しうるものとすべきである。
- 消費者信用業者は、すべて登録制とすべきである。
- 消費者信用業者は、営業保証金を供託し、その旨をその登録を受けた所轄機関に届け出た後でなければその事業を開始できないものとすべきである。
以上
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