平成15年度国選弁護人報酬基準の減額に対する申入書
2002年12月27日
日本弁護士連合会
2002年12月24日の閣議で平成15年度予算政府案が決定し、国選弁護人の報酬については、地方裁判所3回開廷の1件あたりの報酬の支給基準を85,600円とすることとなった。平成14年度の86,400円から800円(0.9%)の減額となっている。減額は戦後初めてのことである。
日弁連は、これまで一貫して報酬の増額を最高裁判所及び財務省宛に要求してきた。その趣旨は、国選弁護人報酬は、謄写料等の実費を含むものであり、公務員の賃金とは本質的違いがあるところ、現在の報酬の支給基準は弁護活動の実態に見合ったものになっておらず、現実には国選弁護人に選任された弁護士に多大な犠牲を強いるものとなっているからである。
司法制度改革推進本部では、2006年度から国費による被疑者弁護制度導入を前提に検討作業が進行している。この制度の実現には、現状を大きく上回る弁護士の確保が要請されており、そのためには適正な国選弁護報酬が不可欠となっている。
このような事態のもとで、国選弁護人報酬の支給基準が減額されることは、極めて遺憾である。むしろ、かねて要望しているとおり、報酬額は大幅に引き上げられるべきである。