原発の安全性確保等に関する緊急提言-東京電力の福島原発等の不正問題をふまえて

2002年12月21日
日本弁護士連合会


本提言について

当連合会は原発の安全性への危惧などから、かねてより脱原発政策を提言してきたが、原子炉の安全性にかかわる今回の事件の重大性をふまえて、プルサーマルおよび再処理計画を撤回し、脱原発政策への転換をより一層強力にすすめることを求めるものである。


当面、当連合会は、今回の事件を受けて、国、経済産業省、原子力・安全保安院(以下「保安院」という)に対して以下のとおり緊急提言を行う。


  1. 保安院は、緊急に独自の調査をもって、不正の内容・原因・安全性への影響・事実関係発覚の経過・責任を明らかにし、より効果的な内部告発者保護プログラムを含む再発防止対策を検討すること。
  2. 経済産業省は、他の電力会社の保有する原子炉を含め、疑惑のある全原発を停止し、保安院自らが責任をもって、虚偽記載が判明した箇所と同様の箇所すべてを再検査し、そのデータを公開すること。
  3. 国は、関係自治体や当連合会から推薦された者を加えた評価委員会を設置し、これによって保安院の規制機関としての信頼性を独立の立場から評価すること。
  4. 国は、保安院と原子力安全委員会を統合して、経済産業省から独立した一元的な原子力の安全を確保するための規制機関を内閣府に置いて、規制と推進の分離の徹底をはかること。
  5. 国は、安全性の検査について、上記規制機関の検査要員を直ちに1500名規模に増員し、専門的検査官を養成すること。
  6. 経済産業省は、維持基準導入計画を撤回すること。