入札制度改革に関する提言と入札実態調査報告書

2001年(平成13)年2月
日本弁護士連合会


本意見書について

はじめに

わが国の公共事業の入札において、1993年にゼネコン疑惑が発生し、その後建設省主導の幾度かの入札制度の改善がなされたが、依然として入札談合が蔓延している。


日本弁護士連合会では、1990年6月と1991年3月に入札制度改善と独禁法運用強化の意見を表明し、1994年5月には、「入札制度の改革と独占禁止法の改正及び運用強化を求める」総会決議を採択し、(1)指名競争を廃止して一般競争入札方式を定着させること、(2)予定価格等の入札結果を公表すること、(3)入札参加資格の審査基準の公表などを提案した。


その後、中央建設業審議会等の答申を経て、制限付一般競争入札の試行的採用等の改革が行われたが、談合は依然として解消されず、日弁連では、1996年3月に「入札制度の改革と談合防止に関する中間報告書」を発表した。この中間報告書においては、(1)制限付一般競争入札の対象工事の枠を拡大すること、共同企業体方式の応札の廃止、(2)入札予定価格、最低制限価格の公表等入札制度の透明性の確保、(3)入札、履行ボンド制の導入等を提言した。


さらにその後も、日弁連では全国単位弁護士会の協力を得て、2度の入札・談合ホットライン、全国都道府県・政令都市における入札制度のアンケート調査、聞き取り調査等を実施し、1999年11月には、アメリカにおける入札制度の調査・視察を行った。


政府も、中央建設業審議会等の答申を得て、今日まで数回の入札制度の改善を行い、2000年11月、国会において「公共工事の入札及び契約適正化の促進に関する法律」(以下「適正化法」という。)が成立した。各地方公共団体も独自に改善を実行し、公正取引委員会もこの数年談合事件摘発件数を増加させている。さらに、各地で住民代表訴訟が提起され、損害賠償請求がなされている。しかしながら、最近に至っても談合事件は数多く報道されており、談合は蔓延していると言ってよい。


日弁連では、談合解消に向けてこれまでの調査・研究結果を踏まえて、本報告書により入札制度改革に関する提言を行うものである。


目次

  • はじめに …1
  • 第一 入札制度改革に関する提言の趣旨 …1
  • 第二 提言の理由 …2
    • 1. 日本の入札は談合が蔓延している。 …2
    • 2. 談合蔓延の原因は、発注者の談合容認姿勢にも原因がある。 …2
    • 3. 談合放置の日本の入札の実態 …2
    • 4. ペナルティーが少ない日本の入札 …3
    • 5. 談合防止に成果をあげている横須賀市、座間市、久居市 …4
    • 6. 建設省の入札・契約の改善推進の通達 …4
    • 7. 公共工事の入札及び契約適正化の促進に関する法律 …5
    • 8. 談合が蔓延していることを前提とした談合防止対策が必要 …6
  • 第三 日弁連の入札制度調査結果 …8
    • 1. 入札制度アンケートと4県(愛知県、静岡県、徳島県、三重県)調査 …8
    • 2. 入札・談合ホットラインの実施結果 …12
    • 3. 談合の防止に成果をあげている神奈川県横須賀市、神奈川県座間市、三重県久居市の聞き取り調査 …13
    • 4. 談合刑事記録調査結果 …15
      • 1. 名古屋市ゴミ焼却場新南陽工場談合事件
      • 2. 1997年(平成9年)の関西・全国ゼネコン警告事件
      • 3. 日本下水道事業団談合刑事事件
      • 4. 三重県久居市下水道談合刑事事件
      • 5. 鈴鹿市での談合に関わる贈収賄刑事事件
    • 5. アメリカ入札制度調査 …20
  • 〔参考資料〕 …23

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