日弁連新聞 第556号

新型コロナウイルス感染拡大への対応
相談事業の実施状況等

新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴う政府の緊急事態宣言および各都道府県の外出自粛要請により、一般市民の生活や経済活動にも大きな支障が生じ、雇用や休業手当等に関する労働トラブル、結婚式等の各種キャンセル料に関する消費者トラブル、資金繰りや借入金の返済などの法律相談へのニーズが高まった。他方で、感染拡大防止のため、法律相談業務を一時休止せざるを得なくなった弁護士会もあったことから、相談希望者のニーズの受け皿を用意する必要が生じた。


日弁連では、全弁護士会の協力を得て、4月1日から「ひまわりほっとダイヤル」による新型コロナウイルス関連の相談を初回30分無料(6月1日以降は一部地域を除き初回30分無料)とし、4月20日からは、新型コロナウイルス関連法律相談事業を立ち上げ、コールバック方式(全国統一ダイヤルおよびウェブサイトでの受け付け、担当弁護士からの折り返し)による法律相談を実施してきた。6月末日時点の受付件数は、ひまわりほっとダイヤルが3772件(新型コロナウイルス関連以外の相談も含む)、新型コロナウイルス関連法律相談事業が1488件に上る。相談内容は、国の支援策についての情報提供を求めるものから個別具体的な事案における解決へ向けたアドバイスまで多岐にわたる。


新型コロナウイルス関連の法律相談へのニーズは今なお少なくないが、緊急事態宣言の解除に伴い、各弁護士会の法律相談業務が徐々に回復してきたことから、本相談事業については7月22日をもって終了とし、その後は各弁護士会で対応するよう要請している。


会員各位の本相談事業への協力に感謝申し上げるとともに、今後の各弁護士会における相談対応体制の整備をお願いする次第である。



(COVID-19対策本部嘱託 加賀山瞭)



会長声明・会長談話を公表

日弁連は4月と5月の2か月間で、会長声明および会長談話(以下「声明等」)を合計20本以上公表した。このうち10本以上が新型コロナウイルス感染拡大により生じ得るさまざまな問題に関する声明等である。


これらの声明等のうち、入管収容施設・刑事収容施設における感染拡大の防止を求めるものとして、4月15日に「入管収容施設における『三つの密』のリスクの解消を求める会長声明」を、4月23日に「刑事収容施設における感染拡大の防止を求める会長声明」を公表した。


また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により経済的に苦境に陥った人々への支援を求めるものとして、5月7日に「新型コロナウイルス感染拡大によって家賃の支払に困難を来す人々を支援するため、住居確保給付金の支給要件緩和と積極的活用を求める会長声明」「新型コロナウイルスの感染拡大が収束するまでの一定期間の特例措置として、生活保護制度の運用を緩和し、同制度の積極的活用を求める会長声明」「新型コロナウイルス感染症による緊急措置として、労働者が失業したものとみなして失業給付を受給できる措置を講じるとともに、雇用調整助成金の迅速な支給拡大を求める会長声明」の3本を公表した。


この他に、刑事裁判の期日延期等への対応を求める声明、刑事施設での一般面会制限に関する声明、家庭内被害―DV・虐待―の増加・悪化防止に関する声明、中小企業・小規模事業者に対する緊急融資の改善を求める声明、司法試験の実施延期に関する談話など、新型コロナウイルス感染拡大に関連して多岐にわたる内容の声明等を公表した。



会員向け情報

日弁連は、新型コロナウイルス対応に関して、会員専用サイトに、会員に有用と思われるさまざまな情報を提供している。


・緊急事態宣言下で法律事務所を持続的に運営するための工夫例


会員、事務職員、依頼者などの感染リスクを回避し安全を確保しつつ、持続的に法的サービスを提供することは喫緊の課題であり、その工夫例を、法律事務所の規模別に紹介している。


・法律事務所が利用可能な新型コロナウイルス感染症に関連する施策・助成金など


通常の業務が行えず、事務所運営などに不安を感じる会員も多いと思われることから、弁護士や法律事務所が利用できる国・地方自治体の施策・助成金などをまとめている。


・新型コロナウイルスに関連する法律相談等で役立つコンテンツの紹介


法律相談で活用できるQ&Aや、押さえておくべきポイントを解説したeラーニングを配信している。


・会員向けアンケート最終報告、日弁連の取組


会員の執務状況の実態調査を行い、さらなる支援策を検討するため、全会員向けアンケートを実施した。その集計結果を会員からの意見や要望に対する日弁連の取組状況と合わせて掲載している。


(以上について、詳しくは、会員専用サイト HOME≫書式・マニュアル≫事務所経営関係≫事務所経営・採用≫新型コロナウイルス感染症に関連する法律事務所の運営などで役立つ情報をご覧ください。)


なお、第63回人権擁護大会およびシンポジウムは、11月5日・6日に鹿児島市においては開催しないこととなった。



新型コロナウイルス感染症に関する
オンライン国際会議への参加

arrow On-line meeting for UIA Bar members(2020年5月18日)に参加し、スペイン、ポーランド、メキシコ、セネガル、イギリスをはじめとした各国の弁護士会と新型コロナウイルスへの取り組みを議論しました


5月18日、国際弁護士連盟(UIA)の主催により、新型コロナウイルス感染症に関するオンライン国際会議が開催され、日弁連からは上田英友副会長と東澤靖会員(UIA会長相談役・第二東京)が参加した。


冒頭、UIAのロス会長から、新型コロナウイルス感染症に関するUIAの取り組みについて発言があった後、出席した各国の弁護士会が発表を行った。上田副会長も日弁連の取り組みを紹介した。


各国からは、弁護士会・法曹団体が直面する問題として、取扱事件数の減少に対する不安、若手弁護士のキャリア形成への不安、リモートワークに伴うメンタルヘルスへの影響等について発言があった。また、法の支配に関して、裁判所の閉鎖や司法システムの機能低下に関する懸念、感染拡大を契機とした人権制限に対して弁護士会が監視の役割を果たす必要性、司法制度の維持のために弁護士の職務が持続的に遂行される必要性等を指摘する意見が出された。


6月10日には、世界弁護士会事務総長会議(IILACE)主催によるオンライン会議が開催された。日弁連からは渕上玲子事務総長が参加し、新型コロナウイルス感染拡大に伴う財政的課題に対する戦略と解決策について意見交換を行った。


その他、G7加盟各国の弁護士会を構成メンバーとするG7 Bars、香港律師会、ドイツ連邦弁護士連合会(BRAK)等がオンライン国際会議を開催しており、日弁連も積極的に参加して意見交換を行っている。



(国際室長 竹内千春)



最高裁判所裁判官
候補者の募集について

最高裁判所裁判官のうち、宮崎裕子裁判官(第一東京弁護士会出身)が2021年7月8日に、木澤克之裁判官(東京弁護士会出身)が2021年8月26日に、定年退官を迎える予定です。


そこで、日弁連では後任候補者の推薦手続を進めています。最高裁判所裁判官候補者を推薦される会員の方は、候補者の履歴書および推薦者名を明記した推薦届50人分以上を、2020年9月11日(金)までに弁護士会連合会を経由して、または日弁連の最高裁判所裁判官推薦諮問委員会に直接ご提出ください。


詳細は、会員専用ページ掲載の「日本弁護士連合会が推薦する最高裁判所裁判官候補者の選考に関する運用基準」、「最高裁判所裁判官候補者の推薦基準」等をご確認ください。


*詳細は会員専用ページをご確認ください(4月28日付お知らせ)。 HOME≫お知らせ≫2020年≫最高裁判所裁判官候補者の募集について



第71回定期総会
東京で開催(7月31日)

本年7月31日(金)午後0時30分から、弁護士会館2階講堂「クレオ」において、第71回定期総会が開催される。


令和元年度(一般会計・特別会計)決算報告承認の件、令和2年度(一般会計・特別会計)予算議決の件、宣言・決議の件、会員より発議された決議の件などの議案が審議される予定である。


議案内容等の詳細は、招集通知および議案書をご覧いただきたい。



2020年度会務執行方針(要約)

(全文は日弁連ウェブサイトをご覧ください。)


はじめに

高度情報化・国際化が進む中、我が国では経済の長期低迷、少子高齢化が進行し、度重なる大規模災害も相まって、社会全体の活力低下が懸念されています。そのような中、新型コロナウイルス「COVID-19」の感染者が全国各地に拡大し、社会経済はもとより国民生活にも重大な影響を及ぼし、さらには市民の生命・身体にも関わり得る事態となりつつあります。この緊急事態に際し、私たちはこれまで蓄積してきた英知を結集し、全国の会員とともに迅速かつ適切に対応していく必要があります。


会長、副会長15名そして事務総次長、職員が一丸となって全力を尽くす所存です。



第1 平和と人権

憲法改正について、国民が熟慮できる機会が保障されなければなりません。憲法改正手続法には最低投票率の定めがないなどの問題もあります。改正を議論するに当たり立憲主義の大切さを国民や政府に丁寧に説明し、問題の所在を指摘します。


特定秘密保護法は、廃止を含めた抜本的な見直しに向けて取り組み、運用状況を監視します。


いわゆる共謀罪法は、廃止へ向けて取り組むとともに厳しくその適用状況を注視します。


高齢者や障がい者が自分らしい生き方を選択できる社会を実現するために、積極的に各種の制度構築と運用改善に努め、より身近な「ホームロイヤー制度」の普及に努めます。


自然災害発生時における弁護士の活動の有用性が広く知られてきています。生活再建や紛争解決など、弁護士による被災者の支援を継続します。


公害・環境破壊の根絶を目指すとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組みます。


全国の児童相談所における弁護士の配置等を推進し、児童虐待防止のための取組を強めます。


少年法の適用年齢は、少年の立ち直りや再犯防止の実効性の観点から判断されるべきであり、引下げには引き続き反対します。


犯罪被害者法律援助事業の国費化に向けた取組を強め、全ての地方公共団体に犯罪被害者支援条例を制定するよう働きかけます。さらに、性犯罪・性暴力被害者のための病院拠点型ワンストップ支援センターの設立を求めます。


消費者被害防止・救済方策を進め、特に高齢者の権利が侵害されないよう注視します。


労働審判制度が効果的に機能するための取組を進め、労働者の救済策の充実、ワークルール教育を推進します。


生活保護法の改正を求めるとともに運用改善に取り組み、最低賃金の迅速かつ大幅な引上げを求めます。


性的指向や性自認による偏見や差別をなくすため、法律相談の充実や市民に対する啓発活動等を行います。


外国にルーツを持つ人々との共生社会の実現を目指し、外国人住民に対する司法アクセスの拡充、外国人労働者を受け入れる中小企業の支援などに関する取組を実施します。


若年層の法教育の充実のために、多くの人に広く法教育が浸透するよう活動します。


犯罪被害者・家族・遺族の心情と実情に配慮しつつ、死刑制度廃止を訴えます。


個人通報制度の導入と国内人権機関の設置を求めます。


新型コロナウイルス「COVID-19」の感染拡大による様々な法的問題について必要な情報提供を行うとともに、弁護士会と連携して法律相談事業を展開し、迅速かつ適切な対応ができるように体制を整備します。



第2 弁護士の活動領域の拡大

国や地方公共団体における弁護士任用の促進等、行政との連携を一層推進します。


日本司法支援センターにおける民事法律扶助の立替基準を検証し、困難案件加算や償還免除の活用・拡大等に取り組みます。


弁護士費用保険について候補者名簿と研修の更なる充実を図ります。


中小企業者向け相談受付専用ダイヤル「ひまわりほっとダイヤル」の普及活動など弁護士へのアクセスを容易にする仕組みづくりに取り組みます。


中小企業の国際業務支援や、国際公務、国際交流に取り組み、国際仲裁・調停で活躍できる弁護士の育成・支援も進めます。


隣接士業の権限逸脱行為や無資格者による他人の法律事件への介入に対して厳正に対処し、法的に競合している分野については、市民の権利擁護という視点で弁護士の優位性を訴えるべく取り組みます。



第3 法の支配の確立のための司法基盤の整備

民事裁判手続のIT化、在留外国人の司法アクセスの確保などの国際化対応といった民事司法制度の重要課題について、「民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議」の取りまとめやこれまでに当連合会が公表した意見等を踏まえ、より良い民事司法制度の構築を目指します。


地域の実情に応じた弁護士過疎・偏在解消に向けた取組を推進します。ひまわり基金法律事務所の支援を推進し、都市型公設事務所の赴任弁護士の人材確保と養成を行うため、施策を検討し実施します。


法律相談センターの運営や援助の在り方を検討し、法律相談の活性化に取り組みます。


市民にとって身近で利用しやすく、頼りがいのある民事司法を実現するため、とりわけ市民の司法アクセス改善のために裁判所支部機能の拡充に取り組みます。


日本司法支援センターが行っている認知機能が十分でない高齢者・障がい者やDV・ストーカー・児童虐待の被害者等に対する法律相談事業の適正な運用を目指します。


スタッフ弁護士の人材確保、養成及び支援に努めます。



第4 法曹養成問題と法曹人口問題への取組

法曹の魅力を高め、的確に発信します。法学部に法曹コースを設置し、法科大学院在学中の司法試験受験を認める改革が適切に運用されるよう必要に応じて提言を行います。


司法試験合格者1500人への減員傾向が継続するのか注視し、引き続きデータ収集を行い、更なる減員について速やかに検証します。



第5 刑事司法制度の改革

弁護人立会権の確立に向けて具体的な取組を進め、取調べの録音・録画の対象・範囲を全事件・全過程に拡げるべく取り組みます。


全面的証拠開示や人質司法から脱却するための立法事実の集積に取り組みます。


再審請求手続における証拠開示制度の法的整備を含む再審法改正に向けて取り組みます。


逮捕段階における公的弁護制度の実現、国選付添人の身体拘束事件全件への対象拡大を目指します。


再犯防止推進計画の策定や、更生支援計画書の活用に向けた取組を進めます。



第6 若手弁護士への支援

いわゆる谷間世代の会員に対する給付金制度を含む会内施策を着実に実施し、国費による是正措置としての政策を求める活動を進めます。


若手会員が新たな活動領域を開拓する体制を支援します。



第7 男女共同参画の推進

政策・方針決定過程への女性会員の参画拡大を目指し、積極的に施策を推進します。さらに、内閣府男女共同参画局と連携の上、弁護士会内と社会の両面から男女間格差を解消する取組を進めます。



第8 弁護士自治を堅持する方策等

不祥事対策に取り組みます。


弁護士会の市民窓口及び紛議調停の機能強化、懲戒制度の運用面での工夫など、実務面の対策を推進するとともに、会員への支援策の充実を図ります。


依頼者の本人特定事項の確認・記録の保存・年次報告書の提出の履行の徹底に努めます。


効率的な会議運営やテレビ会議システムの拡充など、会務合理化のための施策を推進します。


小規模弁護士会に対する支援の在り方を更に考えます。


重要な施策を行うために必要な支出は行う反面、不要不急なイベントの見直しや委員会の統廃合等により適正な会財政を目指します。


会長選挙の選挙公報や公聴会の在り方等についても検討します。


「日本弁護士連合会広報中長期戦略」に基づくイメージアップ広報、弁護士の仕事を市民や企業に知ってもらう広報、法曹の魅力を発信するための効果的な広報に取り組みます。また、市民や企業が必要とする情報が「伝わる」広報のために、情報の受け手のニーズに配慮したコンテンツ及び媒体を活用します。



改正外弁法成立

5月22日、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律(令和2年法律第33号)が成立し、同月29日に公布された。


改正後の法律名は「外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律」となる。改正のポイントは次のとおりである。



①国際仲裁代理の範囲拡大・国際調停代理の規定整備

外国法事務弁護士や所定の要件を満たした外国弁護士が代理できる国際仲裁事件の範囲を、例えば当事者の親会社(議決権の過半を有する者)が外国に所在する場合や準拠法が外国法である場合等にまで広げるとともに、一定範囲の国際調停事件についても外国法事務弁護士等が代理できることとした。



②職務経験要件の緩和

外国法事務弁護士の承認基準の一つである職務経験要件(3年以上)について、日本国内での職務経験を2年まで算入できることとした(従前は1年)。



③弁護士・外国法事務弁護士共同法人制度の導入

弁護士・外国法事務弁護士共同法人は、弁護士と外国法事務弁護士が共に社員となることにより設立される新しい形態の法人であり、法律事務一般を行うことができる。外国法事務弁護士の権限外法律事務に対する不当関与の禁止等所要の規制が設けられている。



施行日

①と②の改正は本年8月29日に、③の改正は2022年11月までに、それぞれ施行される予定である。



(会則会規改正ワーキンググループ委員 菊池 秀)



新事務次長紹介

武内大徳事務次長(神奈川県)が退任し、後任には、6月1日付で畑中隆爾事務次長(神奈川県)が就任した。

 

畑中 隆爾(はたなか・りゅうじ)(神奈川県・49期)

所属弁護士会では、2014年度副会長のほか長く調査室で会務に当たっておりました。日弁連となると、格段に広く複雑な事務が待っているかと思いますが、多様な視点と誠実な心を持って向かい合っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 


 

新事務次長紹介

添田真一事務次長の後任として、7月1日付で下園剛由前法制第一課長が事務次長に就任した。

 

下園 剛由(しもぞの・たけよし)(1999年入局)

コロナ禍を受け、法律専門家団体であり、人権擁護団体である日弁連が果たすべき社会的役割は、さらに増大していると感じます。感染防止対策には充分適切に対応しつつ、会務をサポートする事務局機能の維持・充実に向け、努力します。




日弁連総合研修サイトリニューアル

一流の講師陣、最高のノウハウをあなたに

日弁連総合研修サイトとは


日弁連総合研修サイト(以下「本サイト」)では、2009年以降の日弁連会場研修(ライブ実務研修)を撮影した講座の多くのほか、eラーニング用に制作された合計400以上の講座を受講することができます。

会員専用ページのトップページ右側にあるバナーから、お入りください。



《本サイトの特徴》


◆各分野の最前線を担う講師による解説

◆全講座受講料無料

◆タブレット、スマートフォンにも対応

◆倍速再生可能

◆資料のダウンロード可能

◆日弁連会場研修のアーカイブも視聴可能


より使いやすく便利に


本サイトは、4月7日にリニューアルされました。


《主な新機能》


◆トップページからキーワード検索が可能になり、検索しやすくなりました。

◆音声のみの再生も可能になりました。タブレットやスマートフォンでも可能で、音声ファイルは新しい講座から順次追加しています。

◆PCだけでなく、タブレットやスマートフォンでも動画・音声の倍速再生が可能になりました。

◆「人気講座ランキング」のページを新設し、どの講座が多くの会員に視聴されているかが一目で分かります。6月上旬では、新型コロナウイルス問題に関する講座や民法改正対応の講座がランキングの上位に入っています。

◆講座ごとにアンケートに回答できるようになりました。新型コロナウイルス問題に関する講座等において、多くの感想が寄せられています。

◆講座ごとに受講者の声の一部をレビューとして掲載します。受講する際の参考にしてください。


《サーバを増強》


◆近時のアクセス数増加対応のため、サーバを増強しました。リニューアル時よりも、アクセスしやすくなっています。



「コロナ」で検索!最新のeラーニングで、新型コロナウイルス問題対応も万全

最新の情報をタイムリーに


本サイトでは、最新の法改正等をフォローアップするための講座を多数用意しています。


《新型コロナ対応》


○新型コロナウイルス問題に関する個人向け相談のポイント~緊急事態宣言に備えて~

○新型コロナウイルス問題に関する企業向け相談のポイント~従業員を出社停止とする場合の注意点は?~

○「コロナ倒産」を回避する!危機対応の資金繰り対策


《DV被害・児童虐待対応》


○DVをめぐる法制度の概要と相談対応

○DV被害者への対応―初動支援から実務の流れ―

○児童虐待問題に対する法的対応の実務(アドバンス)①法律相談のポイント/②虐待により家庭で生活できない子どもへの自立支援


《債権法改正》


○2018年度ツアー研修カウントダウン!債権法改正(①改正の目的・経緯、債務不履行による損害賠償、契約解除、危険負担、売買、請負、債権の消滅時効/②意思表示、代理、法定利率、債権者代位権、詐害行為取消権/③多数当事者、保証債務、債権譲渡、弁済、相殺/④定型約款、消費貸借、賃貸借、委任、寄託、組合)

○施行迫る!―改正債権法の保証・定型約款・不適合責任及び経過措置について

○民法(債権法)改正と倒産実務への影響

○債権法改正と民事交通事故事件


《相続法改正》


○早わかり相続法改正(1配偶者保護・特別の寄与/2遺産分割・遺言・遺留分)

○改正相続法と家裁実務~遺産分割事件を中心として~

○法律事務所の事務処理ルール第4回「相続手続き(1)」相続法改正と遺産分割事件の処理


《民事執行法改正》


○改正民事執行法の実務上の諸問題(金銭債権執行の事例検討を中心に)

○民事執行法等の改正と家事事件実務~子の引渡し、第三者からの情報取得手続、財産開示手続ほか~


いつでもどこでも


外出を控えたり、自宅でテレワークをしている会員の皆さま、いつでも、どこでも、手軽に、弁護士実務に役立つ最新の情報を身につけたい皆さま、リニューアルしてますます便利になった本サイトをぜひご活用ください。



(研修・業務支援室 嘱託 得重貴史)



日弁連短信

コロナ禍の中で退任を迎えて

今年の2月から6月にかけては、日弁連事務次長としての業務も、新型コロナウイルスに振り回される日々であった。

2月上旬、横浜沖にクルーズ船が停泊していたころは、まだどこか別世界の出来事のように感じていた。ところが、2月中旬から各種イベントが中止されるようになり、2月27日には一斉休校等の政府要請が発出され、事態の深刻さに直面していくこととなる。

3月に入ると、まず、懇親会等が軒並み延期となった。手帳を見返すと、当時の予定の多くが赤線で抹消されている。また、この時期は日弁連会長選挙の再投票の期間中であったので、選挙が無事に行われるか、最後までヤキモキさせられた。再投票の結果、荒執行部が誕生するも、役員の就任披露を行うことができていないのは残念である。また、個人的には国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)の開催延期が心残りとなった。


そうして、4月7日に緊急事態宣言が発出される。日弁連も、事務局職員は原則として自宅待機とし、一部出勤者とテレワークによる半数程度の実働となる中、窓口業務、委員会業務を停止する非常事態に入った。会長と総次長は毎日の出勤を続けたが、入口を閉鎖して照明も落とした人気のない会館で執務していると「この先、一体どうなるのか」という不安に苛まれたものだ。また、緊急事態宣言直後、司法試験の実施延期が発表されたことにも驚かされた。大急ぎで会長談話を用意したことが思い出される。なお、この時期、会館地下のコンビニが一貫して営業を継続し、私たち職員に勇気を与えてくれたことは特筆しておきたい。


5月に入ると、事務局職員のテレワーク環境も拡充し、徐々に勤務態勢が整ってくるとともに、委員会もウェブ会議を利用して再開されるようになった。日弁連が少しずつ日常を取り戻していくうちに、5月25日に都内の緊急事態宣言が解除された。


 ◇  ◇  ◇


事務局職員のテレワークや委員会のウェブ会議開催は、コロナ禍がなければここまで急速に拡大しなかっただろう。他方、電子化されていない申請や印鑑ベースの決裁システム等、まだまだ改善すべき点も少なくない。今後の日弁連の在り方に強い関心を残しつつ、私は5月末日をもって事務次長を退任した。


皆さま、お世話になりました。



(前事務次長 武内大徳)



JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.151

「治療的司法」の実践を!
犯罪原因の根本的解決による再犯防止を目指して

犯罪の原因となる問題の解決に焦点を当てた刑事司法の在り方を希求する「治療的司法」が注目されています。2017年には、治療的司法に関する調査・研究を専門に実施する日本初の研究機関として、治療的司法研究センターが成城大学に開設されました。センター長の指宿信教授(成城大学法学部)と同センター客員研究員の林大悟会員(東京)にお話を伺いました。

(広報室嘱託 白石裕美子)


指宿 信教授

治療的司法とは?

犯罪の原因となった問題を根本的に解決するため、必要とされる福祉的支援や医療、その他のサポートを提供する司法の在り方です。例えば薬物事件など刑罰による再犯防止があまり期待できない事案において、依存や嗜癖からの離脱、つまり原因の除去を目指して量刑にこれを反映させるという取り組みで、海外のドラッグコートなどの問題解決型裁判所がこれに当たります。

私が治療的司法に出会った約15年前、日本で再犯防止は出所後の刑事政策の問題と認識されていたため、裁判手続中から取り組むという発想に感銘を受けました。刑事裁判所の役割を変革し得ると思ったからです。


治療的司法研究センターの活動


治療的司法研究センターでは、教育、研修、出版、国際連携等8つのプロジェクトを行っています。例えば、記者レクやコミュニティカレッジ(公開講座)、弁護士向け研修「情状弁護の質的転換を目指して」(日弁連法務研究財団主催)等、治療的司法を広く伝える活動に力を入れています。また、2018年に出版した『治療的司法の実践』(第一法規)は、単なる刑事弁護技術ではなく、依頼者に寄り添って依存からの離脱や社会復帰を目指す、問題解決のための刑事弁護という治療的司法の理念が実例を通じて理解できます。


今後の課題


法曹関係者の間で治療的司法の実践が広がり、市民にも刑罰だけでは解決できないという理解を浸透させたい。将来的には、刑法や刑事訴訟法で被疑者・被告人の治療や回復を求める権利を明確化し、問題解決型裁判所など必要な手続の法制化を実現したいと考えています。


弁護士に期待すること


刑事・民事を問わず、表に現れている法律問題だけでなく、その背後にある、依頼者の抱えるさまざまな問題に目を向けて、そこから解決しようという発想を持って事件に向き合っていただきたい。それこそが治療的司法の実践なのです。



林 大悟会員

治療的司法の実践としての刑事弁護活動とは

私が担当している反復的な万引事案では、刑罰では再犯を防止できず、原因となる精神障害を治療して再犯防止のための環境を構築することが重要です。そのため、保釈を得て専門病院に入院させるなど裁判中の刑事弁護で治療に繋げ、退院後は病気の原因となった環境から引き離すなど治療を続けるための出口支援を福祉と連携して行います。そして回復したら社会復帰して自立するための就労支援を行うという一連の仕組みを作ってきました。

こうした取り組みでは医療や福祉との連携だけでなく、支援団体も重要な役割を担っています。患者同士のミーティングや家族会など他者と関係を維持することで再犯を思いとどまる効果は大きいと実感します。支援を受けて回復した元患者が支援者となるサイクルも彼らの励みになっています。


このような治療的司法観に対する裁判官の理解は広がってきていると実感しています。しかし、これらは裁判対策として行うものではなく、依頼者が再犯に陥らないために必要なことを積み上げた結果です。執行猶予を獲得するために証拠を集めるのではなく、依頼者の個性や原因に適した再犯防止策を実行すれば、必要な証拠は必然的に集まってくるのです。


治療的司法研究センターとの関わり


日弁連法務研究財団で活動報告をした際、私の活動はまさに治療的司法の実践だと指宿教授から指摘されたのがきっかけで、治療的司法研究センターに客員研究員として参加しました。個別事件における対応だけでなく、治療的司法という学術的根拠を与えて社会を動かす活動の重要性を感じています。


会員へのメッセージ


私は「弁護士の仕事」の定義を限界づけない、ということを大切にしています。どうしたら依頼者が幸せになれるか、社会を良くできるかを考えるのが弁護士の仕事だと考え、型にとらわれず思い付くことはすべて実行してきました。このような治療的司法観は刑事弁護に限らず、弁護士の活動理念になり得ると思います。



日弁連委員会めぐり 104
編集委員会

今回の委員会めぐりは、編集委員会(以下「委員会」)です。山西美明委員長(大阪)、鈴木茂生副委員長(第二東京)、田中みどり副委員長(東京)にお話を伺いました。

(広報室嘱託 木南麻浦)


活動内容は

日弁連の機関誌『自由と正義』を編集する委員会で、主に誌面構成の企画、執筆者選定と執筆依頼、原稿チェックなどをしています。

開催頻度は月に2回、毎回2時間から4時間程度委員同士が激論を戦わせています。



委員会の雰囲気は

それなりの時間の拘束があり、活動の内容もハードですが、それだけに委員同士は仲良くなります。何気ない一言が記事のクオリティアップにつながることもあり、思ったことを脊髄反射で言い合える関係が非常に大切です。委員長は1年交代制なので委員会内に委員長経験者が複数いることもままあります。委員長を中心に委員が一丸となって会員の役に立つ誌面作りに邁進しています。



特集の組み方は

心掛けているのは、特集する分野について詳しくない会員が読んだときに何が議論になっているかをさっと理解できる誌面作りです。


テーマは日弁連新聞で取り上げられた事柄、重要な法改正、社会問題などから選定します。テーマ自体がすんなり決まっても、執筆をどなたに依頼すべきかが非常に難しいところです。一つの特集に複数の論考があるので、それぞれの原稿が似通った内容にならないような人選が必要です。執筆者が揃わずにお蔵入りとなった企画もあります。



苦労するのは

原稿は執筆者の作品なので、本当はなるべくそのまま掲載したいのですが、文字数や会員が読んで理解できるかという観点から修正をお願いすることがあります。大変神経を遣う作業ですが、より良い内容になるよう執筆者に伴走する気持ちで取り組んでいます。発行後に執筆者から感謝の言葉を頂戴したり、他の媒体への転載許可を求められることがあるのですが、そういうときは苦労が報われる思いがします。



会員へのメッセージ

読者の皆さまからの反響が一番励みになります。ポジティブなご意見はもちろん、ご批判を頂くこともありますが、とにかく反響をいただけるのはうれしいです。フェイスブック等のSNSで言及している会員もいらっしゃり、委員会で話題にしています。


(*肩書は取材当時のものです。)



日本弁護士連合会 総合研修サイト

eラーニング人気講座ランキング 2020年4月~2020年5月

日弁連会員専用ページからアクセス

順位 講座名 時間
1 新型コロナウイルス問題に関する個人向け相談のポイント
〜緊急事態宣言に備えて~
66分
2 新型コロナウイルス問題に関する企業向け相談のポイント
〜従業員を出社停止とする場合の注意点は?~
86分
3 「コロナ倒産」を回避する!危機対応の資金繰り対策 179分
4 施行迫る!−改正債権法の保証・定型約款・不適合責任及び経過措置につ いて 220分
5 2018年度ツアー研修 第1回 カウントダウン!債権法改正① 158分
6 改正相続法と家裁実務〜遺産分割事件を中心として〜 104分
7 LAC制度の概要 12分
8 交通事故を中心とした偶発事故対応弁護士費用保険について 38分
9 中小企業向け弁護士費用保険について 9分
10 債務整理事件処理における留意事項〜多重債務者の生活再建のために~ 87分

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