入管収容施設における「三つの密」のリスクの解消を求める会長声明




昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、日本政府は、本年4月7日、「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」を発出した。感染拡大の発生を防止するためには、いわゆる「三つの密」(密閉空間・密集場所・密接場面)の回避をより一層徹底すべき状況にあることは、言うまでもない(「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」)。


しかるに、入管収容施設(全国2箇所の入国管理センター及び各地方出入国在留管理局の収容場)においては、多数の被収容者が「密閉」された雑居室に「密集」・「密接」して収容されており、一人でも感染者が出た場合には同じ居室や隣接居室が一気に「クラスター」化するおそれが極めて大きい。


さらに、当連合会も繰り返し指摘しているとおり、近時、入管収容施設における収容期間の長期化傾向が顕著であり、長期収容下で基礎疾患を抱えたまま十分な治療を受けていない被収容者も少なくない状況下にあって、感染者が発生すれば重症化し生命の危険に直結することが懸念される。


この点、国連人権高等弁務官事務所等の国際機関が本年3月31日に発出したicon_page.png共同プレスリリースによれば、収容施設に身体拘束を受けている難民や移民について、新型コロナウイルスの感染拡大が致命的な結果を招き得ることに照らし、遅滞なく解放されるとともに、保健医療サービスに適切にアクセスできるようにすべきであるなどとされている。


以上の点を踏まえ、法務大臣及び出入国在留管理庁長官においては、次の2点について速やかに対応されることを強く求める。


1 受入先のあるなど解放することが可能な被収容者については、在留特別許可、特別放免、仮放免、仮滞在等の諸制度を最大限活用することにより、速やかに収容を解き、集団感染のリスクを大幅に軽減すること。


2 収容を当面継続せざるを得ない被収容者についても、収容場内での感染リスクを極小化する実効的方策を講じるとともに、仮に感染した場合のための適切な医療体制を確保すること。


 2020年(令和2年)4月15日

日本弁護士連合会
会長 荒   中