金融審議会「金融制度スタディ・グループ」「『決済』法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告(基本的な考え方)」についての意見書

 

2019年(令和元年)9月12日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2019年9月12日付けで、金融審議会「金融制度スタディ・グループ」「『決済』法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告(基本的な考え方)」についての意見書を取りまとめ、9月13日付けで内閣府特命担当大臣(金融)、金融庁長官宛てに提出しました。


はじめに

金融審議会は、2019年7月26日、「『決済』法制及び金融サービス仲介法制に係る制度整備についての報告(基本的な考え方)」(以下「報告書」という。)を公表した。報告書は、決済の横断法制とプラットフォーマーへの対応に関する金融制度スタディ・グループの意見をまとめたものであるが、本意見書は、このうち決済の横断法制(報告書第1章)に関し、主として利用者保護の観点から法整備の具体化に当たって特に留意すべき点について、意見を述べるものである。


本意見書の趣旨

決済法制の具体化に際しては、規制の緩和に偏することなく、利用者にとって安全・安心な決済手段を確保すべきである。規制の回避を防止し、利用者保護や公正な競争条件を確保する観点を重視して、同一の機能・同一のリスクに同一のルールを適用する規制の横断化を進めるべきである。
資金移動業の送金額に応じた規制の検討に際しては、以下の点に留意すべきである。
(1) 現行規制を前提に事業を行う事業者については、送金上限額を超える額の資金滞留が許されないこと、滞留は一定期間に限定されることを明確化すべきである。
(2) 「少額」送金の制度においても、利用者資金の全額の保全が確保されるべきである。
第三者型かつ、IC型及びサーバ型の前払式支払手段の利用者資金の保全については、全額の保全を求める制度とすべきである。
収納代行・代金引換等については、資金移動業の規制対象とすることを原則とすべきである。特に、一般利用者が事業者の信用リスクを負担するものについては、利用者保護が実効的に確保されるよう留意すべきである。
利用者トラブルへの対応の検討に際しては、以下の点に留意すべきである。
(1) 資金移動事業者が加盟店と契約を締結し、商品やサービス購入代金の支払いとして行われる資金移動については、第三者型前払式支払手段発行業者又は信用購入あっせん業者の苦情の適切処理・加盟店調査措置義務と同内容の制度を設けるべきである。
(2) 商品やサービス購入代金の支払いとして行われる資金移動、収納代行、前払式支払手段及びデビットカード等について、利用者が販売業者に対抗し得る事由がある場合の既払金返還ルールを創設すべきである。
(3) 資金移動、収納代行、前払式支払手段及びデビットカード等について、第三者による無権限取引が行われた場合の責任分担に関し、利用者が責任を負わないことを原則としつつ、過失のある利用者の責任を一定額に限定するルールを横断的に設けるべきである。なお、利用者の過失の立証責任は事業者に課すべきである。
ポストペイサービス制度については、以下の点に留意すべきである。
(1) ポストペイサービスのうち、特定の販売業者等と密接な牽連関係の下で商品・サービスの販売を条件として代金相当額を当該販売業者に交付し後払いを受ける取引については、割賦販売法が適用されることを改めて明確化し、周知すべきである。
(2) 過剰与信防止の制度については、「少額」サービスにおいても、これを後退させることなく、その充実が図られるべきである。



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