配偶者控除制度及び配偶者特別控除制度に代わる世帯構成及び働き方の選択に中立的な税制度の再構築を求める意見書

 

2017年11月14日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日弁連は、2017年11月14日付けで「配偶者控除制度及び配偶者特別控除制度に代わる世帯構成及び働き方の選択に中立的な税制度の再構築を求める意見書」を取りまとめ、同年11月16日付けで財務大臣へ提出しました。


本意見書の趣旨

1 2017年3月27日に成立した所得税法等の一部を改正する法律における2017年度税制改正において、配偶者控除制度及び配偶者特別控除制度(以下「両制度」という。)の改正が行われたが、この改正にとどまることなく、さらに女性の就労促進と所得再分配機能の発揮の観点から、所得税制につき、新たに、合理的で中立的な制度を再構築することを求める。


 (1) 両制度の創設趣旨としては、夫の所得の稼得に対する妻の貢献や、共働き世帯と専業主婦世帯の納税者の担税力のバランスを考慮したものであるが、従前より、妻の就労制限を招き、性別による役割分担を助長しているという問題や、世帯の中で配偶者の一方だけが主たる稼ぎ手であることを優遇するものであり世帯構成や働き方の選択に中立でないという問題が指摘されてきた。

今回の改正法は、妻の就労制限の問題に対しては一定の改善が図られたものの、実質的に制度を拡充したことにより、標準モデル世帯と母(父)子世帯や単身世帯との間の不公平を拡大させる結果となっている。

両制度は、世帯構成の変化や共働き世帯の増加、母子世帯や単身世帯の貧困が社会問題化する中で、その果たす役割よりもその不公平性の点で、許容できない状況に至っている。したがって、早急に、両制度に代わる制度を再構築することを求める。


 (2) 新たな制度は、税法の基本原則に基づき、担税力に応じ、全ての納税者に対して、公平かつ合理的なものであるべきことは当然の要請であるが、それとともに、現行法制下で納税者が享受してきた利益を一方的に後退させるものであってはならない。例えば、所得税の人的控除について、基礎控除を基本として再構成し、基礎控除額を生活保護制度における生活扶助費程度まで引き上げるなど最低生活費控除原則を徹底した適正な課税最低限の設定を行うべきである。


2 家族従業者としての労働を正当に評価し、家族従業者に対する支払給与についても、他人を雇用した場合と同様、経費に算入するのを原則とし、支払われた賃金については、家族従業者本人の労働の対価と明確に位置付けられるよう、専従者給与制度の見直しを検討すべきである。
  


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