消費者教育の推進に関する意見書

2017年3月17日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2017年3月17日付けで本件について意見を取りまとめ、同日付けで消費者庁長官及び文部科学大臣へ提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 国及び地方公共団体は、「消費者市民社会」の意義を改めて確認するとともに、消費者の自立との関係、消費者被害防止との関係、自己責任との関係に留意しつつ、具体的な行動イメージを提示するなどして「消費者市民社会」の理解・浸透を図るための施策を講じるべきである。

2 国及び地方公共団体は、学校における消費者教育において、以下のとおり取り組むべきである。
(1) 小学校、中学校、高等学校において、教材作成、教員養成等に配慮しつつ、「消費者市民社会」について教育するための環境を整備する。
(2) 小学校、中学校、高等学校において、関連する全ての教科において積極的に「消費者市民社会」の視点を取り入れることで教科横断的かつ体系的な教育を実施する。
(3) 大学・専門学校等においては、一般教養課程に「消費者教育」を取り入れるなど実践的な消費者教育を実施するよう支援する。
(4) 小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校等の各成長段階に応じた継続的な消費者教育を実施する。
(5) 小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校等の全ての段階において、弁護士を含む専門家との連携を積極的に進める。

3 国及び地方公共団体は、学校外における消費者教育において、以下のとおり取り組むべきである。
(1) 見守り者も含めて、高齢者・障がい者に対する消費者教育を効果的に進める。
(2) 地域、家庭における消費者教育を行うための利便性の高いツールを充実させる。

4 国及び地方公共団体は、消費者教育の教材作成、人材育成について、以下のとおり取り組むべきである。
(1) インターネットとそれ以外の媒体の双方の教材を充実させる。
(2) コーディネーター制度の拡充を進める。

5 国及び地方公共団体は、消費者教育推進地域協議会の設置等を進める、市町村間の柔軟な連携を図る、先進的な取組事例に関する情報を集約する等して、消費者教育の取組に関する地域格差の是正に取り組むべきである。

6 国及び地方公共団体は、効率的な役割分担を図るべく、全国ブロック協議会を積極的に開催するべきである。

7 国及び地方公共団体は、消費者教育の推進に関する法律(以下「推進法」という。)3条7項の趣旨を踏まえて、定期的な担当者会議を設置する等関係省庁、関係部署間の連携を進める仕組みを作るべきである。

8 国及び地方公共団体は、消費生活相談員の雇用条件の見直しも含め、消費者教育のための財政上の措置を積極的に講じるべきである。

9 国、地方公共団体、事業者・事業者団体は、消費者に対して、非常時のみならず日常的に正確な情報を発信するべきである。

10 国及び地方公共団体は、公平性を担保する基準を提示すること、消費者団体との連携を進めること等により、事業者・事業者団体による消費者教育をより活用する仕組み作りを進めるべきである。

11 国及び地方公共団体は、消費者教育に関する専門的な研究体制を充実させるべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)