民法の成年年齢引下げに伴う消費者被害に関する意見書

 

2017年2月16日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2017年2月16日付けで本件について意見を取りまとめ、2月21日付けで法務大臣、消費者庁長官、文部科学大臣、経済産業大臣及び金融庁長官へ提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げることについては、現時点においても慎重であるべきである。

 

2 仮に民法の成年年齢を引き下げる場合であっても、消費者被害の拡大のおそれに対する施策として、少なくとも、以下の法改正が民法の成年年齢引下げと同時に行われることが必要不可欠である。

(1)消費者契約法を改正し、事業者が消費者の判断力、知識、経験等の不足につけ込んで締結させた契約について、消費者が契約を取り消すことができる規定を定めること。

(2)特定商取引に関する法律を改正し、18歳、19歳の若年者の特定商取引(通信販売及び連鎖販売取引を除く。)について、事業者が若年者を勧誘する前提として当該契約がその者の知識、経験、財産状況に照らして不適当でないことの確認を事業者に義務付けるとともに、不適当である者への勧誘を禁止し、さらに、若年者が事業者から勧誘を受けた契約を、原則として取り消すことができるとした上で、事業者において上記義務の履行によって当該若年者が不適当でないことを適切に確認した場合は取り消せない旨の規定を定めること。

また、18歳、19歳の若年者の通信販売(高額でない一定金額以下の取引を除く。)について、事業者が若年者と契約をする際に当該契約がその者の知識、経験、財産状況に照らして不適当でないことの確認を事業者に義務付けるともに、不適当である者との契約を禁止し、更に若年者が、原則として通信販売の契約を取り消すことができるとした上で、事業者において上記義務の履行によって当該若年者が不適当でないことを適切に確認した場合は取り消せない旨の規定を定めること。

18歳、19歳の若年者の連鎖販売取引について、若年者に対する勧誘を全面的に禁止するとともに、18歳、19歳の若年者の連鎖販売契約は、若年者がこれを取り消すことができる旨の規定を定めること。

(3)割賦販売法を改正し、18歳、19歳の若年者がクレジット契約をする際の資力要件とその確認方法につき厳格化を図ること。

(4)貸金業法を改正し、18歳、19歳の若年者が貸金業者から借入れ(キャッシング)を行う際の資力要件とその確認方法につき厳格化を図ること。

貸金業法及び金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」等を改正し、貸金業者による保証を付した銀行等金融機関の消費者向け貸付けによる借入れ(キャッシング)について、貸金業法と同内容の総量規制を整備するとともに、18歳、19歳の若年者については資力要件とその確認方法を厳格なものとすること。

 

3 消費者教育について、消費者教育推進法の趣旨に則って、成年年齢到達前の小学校・中学校・高等学校における消費者教育の内容及び体制の充実、成年年齢到達後の大学・専門学校における消費者教育の内容及び体制の充実など、質的にも量的にも抜本的な見直しを行うべきである。

 

4 仮に民法の成年年齢の引下げの法改正がなされたとしても、施行時期については、上記2の周知及び3の施策の効果の浸透が確保されるよう十分な期間が置かれるべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)