不動産特定共同事業法の見直しに関する意見書

 

 

2016年11月15日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

国土交通省は、2016年9月16日、「不動産投資市場政策懇談会報告書」を公表し、不動産特定共同事業に関する制度の在り方についての検討の方向性を提言しました。

日弁連は、金融サービス・投資サービスに関し、投資家投資者保護の観点からの意見を繰り返し公表してきましたが 、今回の不動産特定共同事業法の見直しについて、投資家投資者保護の観点から、 2016年11月24日付けで「不動産特定共同事業法の見直しに関する意見書」を取りまとめ、国土交通大臣及び内閣府特命担当大臣(金融)に提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 「小規模不動産特定共同事業」の創設に当たっては、以下の点に留意した制度の具体化と運用を図るべきである。
(1) 出資総額を1億円未満、投資者の出資額の上限を100万円とすべきである。また、資本金要件のほかは基本的に現行の要件に準じた適切な許可条件を定めるとともに、参入規制の適切な運用が行われるべきである。
(2) 出資の勧誘について、以下の規律を整備すべきである。
① 不動産特定共同事業契約の内容及びその履行に関する説明事項(不特法第24条)について、以下の事項を追加すべきである。特に、ア及びエについては注意喚起を義務付けるべきである。
ア 出資条件、契約期間、損益の帰属、費用負担、業者の報酬、利益の分配、出資の価額の返還、譲渡の可否、情報の開示等が契約の定めによること、及びこれらをよく確認することが重要であること。
イ 事業計画の内容(合理的な賃料水準・空き室率を前提とした賃料収入、経費負担や修繕費用負担、想定売却価格等を前提とした収支計画)。
ウ リスク軽減措置(劣後出資等)の有無。
エ 空き室の発生、賃料の下落、物件の価値の下落等により、利益が分配されず、また、損失が発生するリスクが存すること。
オ (特例事業について)契約の相手方と運用業務を行う者が異なること、責任財産が特例事業者の財産に限定されること。
② 投資者に対する説明が、当該投資者に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならないことを明確化すべきである。
③ 利回りの表示及び説明を行うときには、その合理的根拠及び計算根拠を示すとともに、利回りが確保されないリスクについて具体的に注意喚起することを義務付けるべきである。
④ 不招請勧誘を禁止すべきである。
(3) 1号事業者(不特法第2条第4項第1号)・3号事業者(不特法第2条第4項第3号)の不動産運用に関する規律を整備すべきである。
① 投資者に対する善管注意義務及び忠実義務に関する規定を置くべきである。また、不動産の取得及び売却の際のデューデリジェンスの適切性や利益相反防止体制等について、金融商品取引業者向け監督指針VI-2-6-3に準じた評価項目を、監督指針に定めるべきである。
② 不動産取得資金、一定額以上の工事資金、及び不動産売却代金について、信託による保全を義務付けるべきである。また、対象不動産を当該事業以外の担保に供することは認められないことを明確化すべきである。
(4) 財産管理報告書(不特法第28条)及び閲覧書類(不特法第29条)の記載の充実を図るとともに、許可申請事項の概要、及び事業報告書の概要を、公衆縦覧又はインターネット等により公表をするものとすべきである。
(5) 国土交通省、地方整備局及び都道府県における行政の監督体制の充実を図るべきである。

2 クラウドファンディングに対応した環境整備に当たっては、金融商品取引法上の電子募集取扱業務と基本的に同じ内容の規制とその運用を図るべきである。

3 特例事業への投資者の範囲の見直しに当たっては、以下の点に留意した制度の具体化と運用を図るべきである。
(1) 一般投資家の投資を認める特例事業は、不動産鑑定・公認会計士等の監査・事業計画の適正審査が確保され、劣後出資等のリスク軽減措置がとられている場合に限定すべきである。
(2) 前記1の(2)~(5)と同様の制度整備及び運用を行うべきである。
(3) 一般投資家向けの標準モデル約款の作成に当たっては、不動産鑑定、公認会計士等の監査の条項を盛り込む等、投資者保護の充実を図るべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)