消費者団体訴訟制度の実効的な運用に資する支援の在り方に関する検討会報告書についての意見書

 

2016年9月16日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

2016年6月30日、消費者庁は、消費者団体訴訟制度の実効的な運用に資する支援の在り方に関する検討会報告書を公表しました。

日弁連は、本件について意見書を取りまとめ、2016年9月16日に内閣総理大臣、消費者庁長官、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、内閣府消費者委員会委員長、独立行政法人国民生活センター理事長へ提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 報告書「第3 情報面の支援」について
(1) 特定適格消費者団体に提供されるPIO-NET情報の範囲として「処理結果」を追加すべきである。
(2) 特定適格消費者団体に設置、運用その他の費用負担が発生しない形で、PIO-NETにアクセスできる端末配備を実施すべきである。

2 報告書「第4 財政面の支援」について
(1) 適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する直接資金援助をすべきである。
(2) 直接の資金援助が直ちには困難である場合には、地方消費者行政推進交付金の活用事例として、設立や認定に向けた活動だけでなく適格消費者団体による差止請求関係業務及び特定適格消費者団体による被害回復関係業務を明記した上で消費者庁が同業務への交付金活用を積極的に推奨し、適格消費者団体及び特定適格消費者団体が同交付金を差止請求関係業務及び被害回復関係業務に利用できる環境整備をすべきである。
(3) 不特定多数の者からの寄附増進のため、寄附者の氏名、住所及び職業を記録させる消費者契約法施行規則21条8号の規定を改正し、少なくとも一定の金額以下の寄附を受ける場合には、これらの情報の記録を不要とすべきである。
(4) 消費者庁においても差止請求関係業務及び被害回復関係業務に活用できる基金を創設するとともに、民間基金に対しても同庁が資金を拠出し、運用に携わるべきである。

3 報告書「第5 仮差押えの担保に係る措置」について
(1) 国民生活センターを立担保実施機関として、特定適格消費者団体の要請に応じ立担保を実施すべきである。
(2) 結果的に、特定適格消費者団体が共通義務確認訴訟において敗訴が確定した場合、あるいは、簡易確定手続において特定適格消費者団体に授権した対象消費者が結果的に少なく過剰執行と評価されるような事態となった場合であっても、特定適格消費者団体が故意又は重過失により事業者に損害を与えた場合を除き、立担保実施機関から特定適格消費者団体に対する求償が免除されるようにすべきである。

4 報告書「第6 そのほか」について
適格消費者団体及び特定適格消費者団体の認定の有効期間を原則として5年間に伸長すべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)