弁護士の一連の不祥事に関する理事会決議

 

 

2013年1月18日
日本弁護士連合会






弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現をその使命とし(弁護士法1条)、高度な専門知識と職業倫理に対する市民の信頼を基礎としてその職務を遂行しています。


しかるに、昨年秋以降、福岡県弁護士会所属元弁護士が依頼者からの預り金等の名目で多額の金員を詐取等して詐欺罪と業務上横領罪にて懲役14年の実刑判決を受けた事件のほか、複数の弁護士会で弁護士が後見人や後見監督人の立場を利用して金員を詐取または横領するなどの不祥事が相次いで発覚しています。かかる事態は、単に当該弁護士個人の問題であるだけでなく、弁護士、弁護士会に対する市民の信頼を根底から揺るがすものです。


福岡県弁護士会元弁護士への調査は、同会に設置された調査チームにより進められており、まもなくその調査結果が出されます。その他の各地で発覚したものについても、既に各弁護士会において懲戒処分等の手続が進められており、その過程で原因が追究されています。


当連合会は、一連の事件に対する厳正な処置と原因究明を徹底します。また、原因究明の結果を踏まえ、今後弁護士がこのような不祥事を起こさないための再発防止に全力を尽くします。この点では、全国の弁護士に対してより一層の綱紀粛正と倫理の確立を求めるほか、預り金管理の方法、市民窓口との連携、さらに弁護士会の所属弁護士に対する指導監督のあり方などを含む改善・改革の方策について、当連合会内にプロジェクトチームを編成して検討しており、同チームの答申を得て直ちに不祥事発生防止策を実行に移します。


当連合会は、不祥事の根絶のために最善を尽くす決意であることをあらためて宣明します。

 


icon_pdf.gif理事会決議全文(PDFファイル;6KB)