当面の法曹人口のあり方に関する提言

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2009年3月18日
日本弁護士連合会


本提言書について

日弁連は、理事会において「当面の法曹人口のあり方に関する提言」を採択しました。


  1. 日弁連は、1990年以降数次にわたり司法改革宣言を行ってきました。2001年の司法制度改革審議会意見を受けて諸改革が実施され、本年5月に開始される裁判員裁判と本格的被疑者国選で制度の骨格が出揃います。しかし、司法制度改革を実りあるものにしていくのは、関係者の今後の取り組みに大きくかかっています。本提言は、この歩みをさらに力強く推し進めようとする目的に基づいています。


  2. 今次の司法制度改革においては、司法・法曹への需要の変化を見据えつつ、人的基盤と制度的基盤の整備など、多岐にわたる諸改革の統一的かつ調和のとれた具体化と実行が必要とされています。しかし、新たな法曹養成制度は未だ成熟の途上にあって、新規法曹の質についての懸念が各方面から指摘されています。法曹の質の確保、法的需要の動向、財政措置を含む司法の制度的基盤整備の状況など、司法を取り巻く環境の変化は、この間の弁護士人口増加の状況に比して、当初の想定に沿った進展に至っていません。


  3. 以上のような諸課題の改善・改革にはなお一定の年限が必要とされる状況に鑑みれば、来年度(2009年度)以降数年間は、司法試験合格者数について、現状の合格者数を目安としつつ、慎重かつ厳格な合否判定によって決定されることが相当であり、その後の適正な法曹人口のあり方については、上記の諸状況の変化を踏まえあらためて検討されるべきであると考えます。


  4. 先の緊急提言は、法曹人口の増加をめざしつつも、ペースダウンを求めるものであったことから、裁判員裁判・被疑者国選や過疎偏在対策などに支障が生じるのではないか、司法改革全体を後退させはしないか、と言う懸念の声が寄せられました。司法改革の推進に向けて、日弁連の果たすべき役割に市民から大きな期待が寄せられていることを、改めて痛感させられた次第です。


  5. この間、大幅な法曹人口の増加に日弁連の取り組みが伴って、地域的偏在は改善されつつあり、裁判員裁判・被疑者国選を支える態勢も整備されてきました。本提言は、今後とも着実に法曹人口を増加させつつ、これらの課題のさらなる整備・改善に向けて取り組みを強めていこうとするものであり、市民に懸念を生じさせるものではないと確信しています。


  6. 司法は、市民の権利擁護の最後の砦であり、司法アクセスの一層の改革・改善は、国の重要な責務であります。増大する法曹人口を、裁判官・検察官の大幅増加に結びつけ、扶助予算の抜本的拡大を含む「大きな司法」の態勢を早急に確立することを求めるものです。


  7. 日弁連は、今後とも増加する法曹人口について、多様な市民の期待に応えられる質の高い法曹を育成し、社会のあらゆる分野に広く法曹を輩出していくため総力をあげることを決意します。

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