自動車公害の根絶にむけた道路政策の転換を求めて

2000(平成12)年3月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

意見の趣旨

1. 公害対策の観点から自動車交通総量の抑制を実施する。

第12次道路整備5箇年計画においては、「交通需要マネジメント(TDM)施策の推進(交通需要の調整・抑制策)」が取り入れられているが、それは「都市圏交通円滑化対策」の一環として位置づけられている。しかし、大気汚染の激しい大都市部においては、公害対策の観点からの交通総量の抑制が緊急の課題であり、道路政策の基本的な方向として、環境容量の観点からの自動車交通総量の抑制および交通需要の管理が不可欠である。


具体的には、(1)ロードプライシング、(2)高汚染地域への自動車乗り入れ規制等を緊急に実施する。


2. 大気汚染および騒音振動の激しい地域における対策

大気汚染および騒音振動の激しい地域において、以下の対策を早急にとる。


  1. 道路構造の改善
    自動車交通量抑制のための車線削減、道路の地下化・シェルター化および道路騒音防止工事等の道路構造の改善を行う。
  2. 高規格道路の再検討
    少なくとも、大気汚染・騒音の激しい地域においては、高規格道路を新規に建設して汚染源を増やすことは慎重であるべきであり、現在の建設計画に関しては一時凍結し、環境容量に基づく自動車交通総量抑制の観点から、再検討を行うべきである。
  3. 公害健康被害補償法の地域再指定の検討
    公害健康被害補償法に基づく公害指定地域は、1988(昭和63)年3月に全面解除されているが、現在も公害被害による患者は条例による認定患者を見ると増加しており、地域指定を改めて行うべきである。

3. 道路政策における国民の参加

道路と自動車交通のあり方は地域住民の享受する環境に多大の影響を与える。また、自動車交通総量の抑制等の道路政策のあり方は、国民生活に直結する問題であり、その実施に際しては国民の理解・協力が不可欠である。よって、道路政策の展開に際しては、情報の公開および国民の参加の機会の確保がとりわけ重視されるべきである。


具体的には、(1)道路整備5箇年計画を閣議決定事項から国会承認事項とする、(2)道路整備5箇年計画策定に際して公聴会を実施する等国民の意見を反映する機会を設ける、などの改善を早急に加える。


4. 道路建設を促進する現行の道路特定財源制度を再検討する。

現行の道路特定財源制度においては、自動車交通の増加に伴う増収分が必然的に道路建設の費用に充てられているが、これは、自動車交通総量の抑制の方向に反するものである。したがって、現行制度を改め、今後現在の自動車関連税の税収を自動車公害対策、CO排出削減を中心とする地球環境保全、公共交通の整備等に転用することができるようにする。


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