霊感商法等の被害の救済及び防止に向けての会長談話


本日、消費者庁が主催する「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(以下「検討会」という。)は、報告書による提言を公表した。


報告書では、宗教法人法上の報告徴収及び質問権限の行使、消費者契約法上の取消権の対象範囲の拡大及び行使期間の見直し、寄附の要求等に関する規制の検討、いわゆる宗教二世に対する支援、霊感商法等に関する情報の消費者教育の必要性等が重要課題として示されている。


これらの重要課題について提言を取りまとめるに当たり、検討会は、本年8月29日に第1回を開催し、同年10月13日までに全7回にわたって会議を行った。各回の検討会においては、現行の消費者契約法や特定商取引法の活用や見直し、寄附の位置づけ、宗教法人法の運用上の問題、宗教二世の問題、消費生活相談に関する対応、消費者教育のあり方等、多岐にわたる論点について活発な議論がなされた。


当連合会は、本年8月29日に「arrow_blue_1.gif霊感商法及びその他反社会的な宗教的活動による被害実態の把握と被害者救済についての会長声明」を公表し、霊感商法等の消費者被害への抜本的かつ実効的な解決策の構築に向けて、国の取組とも連携協力していくことを表明した。その上で、法務省が主催する「旧統一教会」問題相談集中強化期間の「合同電話相談窓口」に合わせて、当連合会として、arrow_blue_1.gif霊感商法等の被害に関する無料法律相談の受付フリーダイヤルを本年9月5日から開始した。東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会をはじめ全国の弁護士会と相談担当弁護士が受け皿となり、本日に至るまでに、全国各地域から500件以上の弁護士への相談申込を受け付けている。


相談の中には、「家族が宗教団体に多額の献金をしており困っている。」、「当初は宗教団体であることが分からずに様々な勧誘を受け入信してしまった。」、「親の信仰を子どものころから押し付けられ辛い日々を過ごしてきた。」など、様々な宗教的活動に関わる被害の申告があり、全国的に深刻な被害の実態があることがうかがえる。


当連合会としては、この度の検討会の報告書で示された重要課題を含め、相談事例等から明らかになった被害実態について調査及び分析を行うとともに、引き続き、各省庁、関係諸団体と連携し、霊感商法等の問題に関して被害者の救済に向けて更に尽力し、必要な政策、立法提言等の検討を行い、抜本的かつ実効的な解決を目指していく決意である。



2022年(令和4年)10月17日

日本弁護士連合会
会長 小林 元治