令和3年司法試験最終合格発表に関する会長談話


本日、令和3年司法試験の最終合格者1,421人が発表された。


法曹養成制度の改革が進む中、情熱をもって法曹を志し、晴れて司法試験合格を果たした方々に対し、心から歓迎の意を表するとともに、これから始まる司法修習において一層の研鑽を積み、社会の期待に応える法曹として活躍されることを期待する。


当連合会は、市民にとってより身近で利用しやすく頼りがいのある司法を実現するために、司法基盤の整備、司法アクセスの拡充、弁護士の活動領域の拡大などに積極的に取り組むとともに、社会の様々な要請に応えることができる質の高い法曹を輩出するべく、法曹養成制度の改革に主体的に取り組んできた。


年間の司法試験合格者数については、現実の法的需要や新人弁護士に対するOJT等の実務的な訓練に対応する必要があることなどから、まずは1、500人に減じて急激な法曹人口の増員ペースを緩和すべきことを平成24年3月15日付け「法曹人口政策に関する提言」において提言し、さらに平成28年3月11日の臨時総会で「法曹養成制度改革の確実な実現のために力を合わせて取り組む決議」を採択した。また、政府は、平成27年6月30日に法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、当面の司法試験合格者数を、質の確保を前提としつつ「1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め」るものとした。


司法試験合格者数は、平成30年に1,525人、令和元年に1,502人と減少し、1,500人への減員がほぼ達成されたと言える状況にあることから、当連合会では、令和2年7月に法曹人口検証本部を設置して、1,500人への減員達成後の司法試験合格者数の更なる減員について、現実の法的需要、司法基盤整備の状況、法曹の質等の観点からの検証を開始し、現在、検証結果の取りまとめを行っているところである。


本年の司法試験合格者数は、1,421人となり、前年の1,450人に続き、1,500人を下回った。合格者数の推移については、集中改革期間を経て行われた法科大学院制度改革や、法曹志望者増の取組等の効果を見極めつつ、今後も注視する必要がある。


当連合会は、今後も、法の支配の担い手である弁護士が社会の隅々に至るまであらゆる所で求められる役割を果たすことができるよう、活動領域の拡大、司法基盤のさらなる整備に努めるとともに、公益的活動や先進的取組等を行う若手会員への支援を積極的に進めていく。また、多くの多様で有為な人材が法曹を志望するよう、弁護士の役割や活動の魅力を広く社会に発信し、質の高い法曹を養成するために力を注ぐ所存である。



 2021年(令和3年)9月7日

日本弁護士連合会
会長 荒   中