令和2年司法試験最終合格発表に関する会長談話


本日、令和2年司法試験の最終合格者1,450人が発表された。


法曹養成制度の改革が進む中、情熱をもって法曹を志し、晴れて司法試験合格を果たした方々に対し、心から歓迎の意を表するとともに、これから始まる司法修習において一層の研鑽を積み、社会の期待に応える法曹として活躍されることを期待する。


当連合会は、市民にとってより身近で利用しやすく頼りがいのある司法を実現するために、司法基盤の整備、司法アクセスの拡充、弁護士の活動領域の拡大などに積極的に取り組むとともに、社会の様々な要請に応えることができる質の高い法曹を輩出するべく、法曹養成制度の改革に主体的に取り組んできた。


年間の司法試験合格者数については、現実の法的需要や新人弁護士に対するOJT等の実務的な訓練に対応する必要があることなどから、まずは1,500人に減じて急激な法曹人口の増員ペースを緩和すべきことを平成24年3月15日付け「arrow_blue_1.gif法曹人口政策に関する提言」において提言し、さらに平成28年3月11日の臨時総会で「arrow_blue_1.gif法曹養成制度改革の確実な実現のために力を合わせて取り組む決議」を採択した。また、政府は、平成27年6月30日に法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、当面の司法試験合格者数を、質の確保を前提としつつ「1,500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め」るものとした。


司法試験合格者数は、2018年に1,525人、2019年に1,502人と減少し、1,500人への減員がほぼ達成されたと言える状況にあることから、当連合会では、2020年7月、法曹人口検証本部を設置し、1,500人への減員達成後の将来的な法曹人口について、現実の法的需要、司法基盤整備の状況、法曹の質等の観点からの検証を開始したところである。


本年の司法試験合格者数は、2019年より減少して1,450人となり、「1,500人」を下回るに至った。


法科大学院の志願者数が減少する中、法科大学院の定員規模の適正化、修了認定の厳格化等の法曹養成制度改革の結果とあいまって、司法試験合格者数が1,500人を下回り、法曹人口の増員ペースが緩和された今、当連合会は、今後も、社会に必要とされる質の高い法曹が社会の隅々で活躍できるよう、弁護士の研修制度の充実等に努める。また、多くの有為な人材が法曹を志すことを期待し、関係機関・団体と連携し法曹の魅力を発信する取組を行うとともに、引き続き法曹の養成に力を注ぐ所存である。



 2021年(令和3年)1月20日

日本弁護士連合会
会長 荒   中