令和2年7月豪雨災害を対象とした義援金の差押禁止法の制定を求める会長声明



本年7月3日から断続的に各地を襲った記録的な豪雨により、広い地域で発生した河川の氾濫、大規模な浸水、土砂崩れ等の甚大な被害は、今もなお拡大し、いまだその全容は把握できていない。


今後、人的・物的被害を被った被災者の生活再建を支えるためには、各種の被災者支援制度が漏れなく活用される必要がある。全国から寄せられる善意の寄附を原資として市町村から被災者に配分される義援金も、被災者が生活再建の資金として安心して用いることができるよう、債権者による差押えを禁止する立法上の措置がなされなければならない。


当連合会は、2020年1月17日付けの「災害を対象とした義援金の差押えを禁止する一般法の制定を求める意見書」において、義援金の差押えを禁止する立法措置は、個別法による対処ではなく一般法が制定されるべきであること、全ての災害を対象とすべきことを求めている。寄附者の善意によって拠出された義援金が被災者の生活再建のために用いられるべきであることは、災害の規模や範囲を問わず当てはまる。全国で毎年のように災害が頻発する中で、苦境のまっただ中にある被災者に安心を与え、その生活再建を後押しするため、一刻も早く、義援金の差押えを禁止する一般法の制定がなされるべきである。


もっとも、東日本大震災や令和元年台風第19号等の6つの災害においては、これらを対象とした義援金の差押えを禁止する個別法が迅速に制定されてきた。この度の令和2年7月豪雨災害についても、被災地の状況を踏まえると、一般法の制定の審議を待つ時間的余裕はない。そこで、当連合会は、今般の令和2年7月豪雨災害において、早急に、被災者に支給された義援金の差押えを禁止する法律が制定されることを求める。





 2020年(令和2年)7月15日

日本弁護士連合会
会長 荒   中