ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(勧告)

本日日本弁護士連合会は、内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、厚生労働大臣、法務大臣に対し、別紙のとおりの勧告を行いました。


この勧告は、熊本地裁判決の確定、6月7日の国会決議並びに「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」の成立した後もなお残されている課題に関するものです。


当連合会は、我々自身がハンセン病の患者であった方々の深刻な被害を見過ごしてきたこと、1996年2月16日の意見書において「今後、本問題について継続的に調査を行う」ことを確認したにも拘わらず具体的な対応をとらなかったこと、さらに本件人権救済の申立が1996年8月になされたにも拘わらず本日に至るまで関係各機関に対し勧告を行い得なかったことの責任を痛感し、申立人はじめ元患者の方々に対し心からお詫びするものです。


当連合会は、かような事態に至った原因の調査を行い、今後は人権救済申立事件についての迅速適正な調査と救済を行う決意であります。


そしてこれまでの対応の不充分さを償う意味でも、本日の勧告だけで終わらせることなく今後も勧告内容が充分に理解され履行されるよう努力し、また「無癩県運動」が各地域でなされた事実に鑑み、各弁護士会連合会、単位弁護士会にも呼びかけて、差別・偏見を除去するための広報活動を行うとともに、元患者の方々が故郷で人間らしい生活をおくれるよう都道府県に働きかけるなどの取り組みをすることをここに決意し、表明いたします。


2001年(平成13年)6月21日


日本弁護士連合会
会長 久保井 一匡