旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の成立に対する会長声明

 

本日、国会において、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」(以下「本法律」という。)が、全会一致で可決され、成立した。自民・公明両党の合同ワーキングチームと野党を含む超党派議員連盟を中心とする各政党及び国会議員の方々が、本法律の早期成立に向けて努力されたことは、被害の早期回復の見地から敬意を表する。


当連合会は、2017年2月16日、「旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に対する補償等の適切な措置を求める意見書」を発表し、続いて昨年12月20日にも、「旧優生保護法下における優生手術及び人工妊娠中絶等に対する補償立法措置に関する意見書」を発表して、被害者に対して早期に十分な補償等の措置を行うことを求めてきた。  


本法律は、旧優生保護法に基づかない形で生殖を不能にする手術等を受けた者も補償の対象にしていること、優生手術等の実施に関する記録が残っていないことも踏まえ、対象者の認定に当たっては事案の実情に即した適切な判断を行うとしていることなどは評価できる。しかしながら、他方で、旧優生保護法の違憲性が明記されなかったこと、補償の対象に人工妊娠中絶が含まれていないこと、及び行政が把握している被害者への個別の通知が明記されていない点などは、当連合会の上記意見を踏まえると、十分な内容であるとは言えない。  


さらに、旧優生保護法下における優生手術等の被害について、現在、全国各地の裁判所において国家賠償請求訴訟が係属中であり、司法の判断が積み重ねられることが予想される。 


そこで、今後、国は、被害者へのプライバシーに配慮した個別通知の実施など、本法律を柔軟に運用するとともに、司法の判断内容や政府の調査により判明した被害の実情等を考慮して、被害回復が一層充実されるように本法律の見直しも含めて検討することが求められる。


当連合会は、本法律が適切に運用されるよう見守るとともに、真の被害回復の実現に向けて、引き続き、被害者を支援していく所存である。 


 2019年(平成31年)4月24日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎