「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」の成立に関する会長声明

 


出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が、本年11月18日成立した。

改正法は、在留資格として「介護」を新設するほか、「偽りその他不正の手段により」在留資格許可等を受けた場合や、上記行為の営利目的の幇助者に対し「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金」等を科する規定を新設した。また、在留資格取消しの対象に、所定の「活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること(正当な理由がある場合を除く。)」を新たに加えた。

当連合会は、2015年3月19日付「『出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案』における罰則の強化等に反対する意見書」において、罰則の新設・強化については、その構成要件が曖昧であるため、濫用的な告発などにより、申請者本人や関係者等に対し捜査及び訴追が及ぶおそれがあること、難民認定申請を畏縮させる可能性があること、弁護士の職務への不当な介入のおそれがあることといった点で問題があることを指摘し、 在留資格取消事由の拡大についても、就労関係等の在留資格を有する外国人の地位を著しく不安定にするものであり、入管当局の主観的な判断によって安易に在留資格の取消しがされるおそれがあることを危惧して、強く反対の意見を表明した。しかるに、これらの点の修正等がなされないまま改正法が成立したことは遺憾である。

しかし、こうした懸念も踏まえて、衆議院及び参議院の各法務委員会で附帯決議がなされた。即ち、新設の罰則規定の運用について、入国・在留手続の適正な支援業務に不当な介入が行われることがないよう十分に留意すること、さらに、難民その他の者が、日本に庇護を求めることを躊躇させることのないよう留意することなどが決議された。更に、在留資格取消事由の拡大については、「正当な理由」を限定的に解釈することなど、恣意的な判断に基づき新設規定が不当に適用されることがないよう十分に留意すること、特に、人権侵害行為等によりやむを得ず一時的に実習を行うことができない技能実習生に対して、同新設規定が不当に適用されることがないよう慎重な運用を行うことなどが議決された。両附帯決議は、当連合会が懸念している問題点にも対応したものと評価することができる。

当連合会は、国に対し、附帯決議を遵守し、庇護申請者を含む日本に入国・在留しようとする外国人やこれを支援する者に不当な影響が生じないよう、また、職場を移転しようとする技能実習生などの外国人が在留を不当に取り消されることのないよう慎重な運用を行い、必要があると認めたときには所要の改善措置を速やかに行うことを求めるものである。

 

  2016年(平成28年)11月24日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋