「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)の廃案に当たっての会長声明

 

 

本日、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下「カジノ解禁推進法案」という。)が衆議院の解散に伴い、廃案となった。


カジノ解禁推進法案は、国際観光産業振興議員連盟(通称「IR議連」)で議論され、2013年12月に自由民主党、日本維新の会及び生活の党によって議員立法として提出された。本年6月18日に衆議院内閣委員会で審議が開始され、安倍政権の成長戦略の切り札ともいわれ、今臨時国会での成立との見方もあった。


当連合会は、カジノによる経済効果への疑問、暴力団対策上の問題、マネー・ローンダリング対策上の問題、ギャンブル依存症の拡大、多重債務問題再燃の危険性及び青少年の健全育成への悪影響等から、本年5月9日に、カジノ解禁推進法案の廃案を求める意見書を公表した。その後、3度の院内集会及びシンポジウムを開催し、シンガポール、韓国及び米国のカジノ事情を調査の上、ギャンブル依存症などの課題が提起されていること、米国アトランティックシティではIR型カジノの倒産が相次いでいること、各国でギャンブルの社会的影響を試算しており、韓国では悪影響が経済的利益の4倍にも達すること等を報告してきた。


本年8月には厚生労働省研究班の調査で、ギャンブル依存症が疑われる者が約536万人に達することが明らかとなった。各世論調査でもカジノ解禁に反対する意見が賛成の2倍に及び、広範な消費者団体、高齢者団体もカジノ解禁に強く反対してきた。こうした中、与党内からもカジノ解禁についての慎重論が出され、今臨時国会では法案の審議にも入っていなかったものである。


今回のカジノ解禁推進法案の廃案は、健全な国民世論と当連合会を含む大きな運動の成果とも評価できるもので、歓迎する。


他方、今回の議論の中で、日本におけるギャンブル依存症問題が一刻の猶予もおけない喫緊の課題であることが明らかとなった。厚生労働省は本年9月、5つの拠点病院を指定し、対策に着手したところである。当連合会も、ギャンブル依存症問題の解決に向けて、相談・支援、予防と治療のための環境整備及び法的規制の在り方等の検討を進めていく予定である。


当連合会は、今後も、カジノ解禁推進法案の再提出に強く反対する。

 

 

 

   2014年(平成26年)11月21日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越  進