成年被後見人に選挙権を認める公職選挙法の改正を受けての会長声明

本日、成年被後見人の選挙権を剥奪する公職選挙法11条1項1号の規定を削除する改正案が成立した。



当連合会は、2005年5月6日付けで公表した「成年後見制度に関する改善提言」において、選挙権が民主主義社会において最も基本的かつ重要な権利(憲法15条等)の一つであることから、成年被後見人の選挙権を制限する同規定は早期に見直されるべきであるとの意見を表明し、2011年5月に申し立てられた人権救済申立てに対しては、2012年12月25日付けで国(内閣総理大臣、総務大臣、衆参両院議長)に対し、速やかに公職選挙法11条1項1号を削除する法改正を行うことを勧告してきた。



また、本年3月14日付けで、東京地方裁判所が、公職選挙法11条1項1号を違憲無効とし成年被後見人の選挙権を認める判決を言い渡した。これに対して、当連合会は、同判決を積極的に評価する旨の会長談話を即日発表している。



本日の法改正は、当連合会の意見書や勧告の趣旨、また東京地裁判決の判断を踏まえ、成年被後見人に選挙権を回復させたものであり、評価できるものである。



本改正を受け、次期参議院選挙をはじめとして、今後の国政選挙・地方選挙において成年被後見人が何ら支障なく選挙権を行使しうるよう、国、地方自治体は速やかに環境整備を尽くすべきである。また、国は、東京地裁判決に対して行った控訴を、ただちに取り下げるべきである。



当連合会は、今後も人権擁護が必要な方々の人権保障と民主主義の徹底に、取り組んでいく所存である。

 

 

2013年(平成25年)5月27日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司

 

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